待って、ちょっと待って。
あたしはなんでこんなところにいるのだろうか。

今までデイダラと孤児院の積み木で遊んでたはずなのに(ガキとか言わない見た目はガキなんだからいいでしょ)、カカシ先生たちと戦闘中だったオビトが目をまん丸にしてあたしを見ていた。
少し可愛くて思わずにやけてしまう。

とりあえず、久しぶりオビトを言おうとしたら、思いっきり頬をつねられた。


「お前・・・久遠だな?何故ここにいる?バカか?バカなのか?」
「いひゃいいひゃいいひゃい!!」
「チィ・・・とりあえず隠れるぞ」


あたしの小さな体を担ぎ、オビトは地を蹴った。
ああ、なんだか懐かしいなこの感じ。・・・いや、前はおんぶしてくれてたんだけど。

岩陰に隠れて、地に降ろされたあたしは、オビトを見上げた。
少し苦しそうな、悲しそうなオビトの頬に手を伸ばして、ペタペタと触る。
細められた目から涙が零れ落ちたように見えた。目をこすってもう一度彼を見上げるも、その頬は乾いていた。錯覚だ。

いきなり土煙が上がり、驚いたあたしをオビトが引き寄せる。
そこに現れたのは、なんと、あの、本物のマダラだった。


「え、イケメン超イケメンなにこれなんであたしはおじいちゃんにドキドキしてるんだろう!?」
「・・・・・・・おじいちゃんだと」
「・・・・っ、っ・・・!」


笑いをこらえているオビト。
そんなオビトをジロリと睨み、マダラはあたしを見た。


「二度とオレをそんな風に呼ぶな。体は若かりし頃のままだろう」
「わかかりしころ・・・そんなこと言っちゃうあたりがもうおじいちゃ「黙っていろガキ」


ガキじゃないです久遠ですぅー!
ぶーっ、と唇を突き出す。
写輪眼の行く末、輪廻眼であたしを睨むマダラはそれはもうぞくぞくするほどにイケメンでもう久遠ちゃん困っちゃううう!


「んもうマダラそんなみつめないでえっ」
「っ!?」


がっしりとした足にしがみつけば、一瞬固まったマダラが振り払う勢いでブンブンと足を振った。


「お、まっ・・・!離れろ小賢しい!オビト!なんとかならんのかこのガキは!ていうかなんでこんな戦場にこれがいる!?」
「知らん・・・!」
「やーんツンデレなマダラちんもかわいいーほっぺすりすりすり〜」
「子どもだからと言ってなんでも許されるわけではないぞクソガキ・・・!」
「! 久遠離れろ、マダラは躊躇せずお前を殺すぞ」
「それはいやん」


パッと離れれば、安心したようにオビトがため息をついた。
そのまま抱き上げられ、都合がいいからオビトの肩に顔を埋めれば、意外にも背中を撫でてくれた。

ああ、手が、透けてきた。


「・・・なんだ、こいつ、オレのようにこの世の者ではないな?」


マダラの言葉に、オビトは一瞬くしゃっと泣きそうな顔をした。

あたしの心の臓を貫いた彼の手だけれど、確かにあたしはあの時オビトの優しさに触れたのだ。
だから、そんなに気にしなくていいんだよ。


「あっちで、まってるからね、オビト。あ、マダラもばいばーい」


手を振る。
体が軽くなる。

目を開けた時、そこには少し泣きそうな顔をした幼いオビトがあたしの顔を覗きこんでいた。


「オビト」
「久遠・・・、」
「マダラにあってきたよ」
「・・・知ってる」
「イケメンだったよ」
「知ってる」
「オビト」
「・・・なんだ」
「こっちにきてくれてありがと!」


オビトの小さな手があたしの頬を撫でて、そして、少しだけ笑った。

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -