怖い夢を見た。
起きたとき頬は濡れていて、それが自分の涙だと分かったのはついさっきのこと。
隣で眠る涼太を見て、柄にも泣くまた涙を流してしまった。
これは、安心の涙。


「・・・、久遠・・・?」


もぞもぞと動いてしまったせいか、涼太を起こしてしまった。
薄暗い部屋の中でもわかる、端正な顔立ち。
こんな彼の恋人であることが、不思議になることはしばしばある。

なんで涼太は、私を選んでくれたんだろう、と。


「・・・どうしたの?久遠」


大きな手が私の目尻にある涙を拭う。
心配そうに眉を下げて、もう片方の手を私の背中に回して、彼はあやすようにそのまま背中を撫でてくれた。

なんで涼太は、私を選んでくれたんだろう。

そう思いながらも、先ほど見た夢は、涼太が他の女の子のもとに行ってしまう夢。
私よりも何倍も可愛くて、おしゃれで、涼太にとてもお似合いな女の子。
なんでって思っておいて、涼太を手放せないのは私のほうなのに。

涼太の手が優しく私の頬を撫でる。


「オレはどこにも行かないよ。久遠を一人にしない」


涼太は、私の考えてることが、わかっちゃうのかな。
隠れるように涼太の胸板に顔を押し付ける。
背中に回った腕が、より強く私の体を抱きしめた。


「オレが可愛いと思うのも大切にしたいと思うのも、久遠だけっスから」

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