深い眠りに落ちる寸前でどこかから落ちる夢を見て、飛び起きることがよくあるだろう。
今の私はまさにそれで、ハッとなって起き上がった。
ら、私の額となにかがぶつかり鈍い音がしたのだ。うん、酷く痛む。

頭をおさえながら手探りで電気のスイッチを押すと、そこには私と同じように頭をおさえるジャンの姿があった。


「・・・なにしてるの」
「なっ、んもしてねぇよ・・・!」
「じゃあなんで私にまたがってるの」
「ね、ね、寝相が悪くてだな」
「男子寮からゴロゴロと女子寮の私の部屋までドアを開けて転がってきたのね。すごいね」
「違ぇ!む、夢遊病でだな・・・!」
「夜這いするなら失敗なんてしないでほしかったなー、空気読んでよね」
「てめぇがいきなり起き上がるからだろ!」
「はい夜這い決定ー。ジャンのえっちー」
「っだましやがったな!」
「立場分かってる?私被害者」
「・・・っ、くっそ」
「大体さー、夜這いなんてせずに堂々と襲ってくれればいいのに。恋人なんだし」
「・・・・・・、だろ」
「は?なんて?」
「恥ずかしい、だろうが・・・」
「ジャンの恥ずかしさの基準がわかんないごめん」
「夜は!なんていうか・・・勇気が出るっていうか・・・」
「特殊な体してんね」
「だーもっ、うっせーよ!」
「っん」


乱暴に唇をふさがれた。
恥ずかしがるくせに、キスすることに躊躇しないジャン。
やけくそ感もあるけど、離れたときの彼の顔は暗闇でも分かるくらいに赤く染まっていた。


「・・・ふふっ」
「笑うなバカ」
「ごめんごめん。じゃあ今日は一緒に寝よっか?」
「・・・・・・・・・寝る」


私の布団にもぐりこんできたジャンは、そのまま私を腕の中に閉じ込めてきつく抱きしめた。

とても、温かかった。

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