オビトは毎日忙しい。
自分の理想のために頑張ってる。
わたしはそう、ゼツから言い聞かされて今まで過ごしてきた。
彼に世話になってる以上、わたしは寂しさを押し殺して過ごしてきた。
時々顔を覗かせてくれるだけで嬉しかった。
でも、今日は。
「・・・・っすん・・・!」
「ダカラ、忙シインダ、オビトモ」「今日はなるべく帰ってくるって言ってても、確証はなかったじゃないか〜」
「そ、う、だけどぉ・・・っ!」
ベットの毛布に顔をうずめて泣き声を殺す。
だって今日は、特別な日なんだもん。祝ってとは言えないし言うつもりもなかったけど、今日だけはオビトと過ごしたかった。
少しの我儘くらい、許されないの?
また目頭が熱くなって来たとき、部屋をノックする音。
わたしは慌ててゼツに抱きつき、咄嗟に寝たフリをした。
「久遠?寝ているのか?」
大好きなオビトの低くて心地いい声。
起きなくていいのと呟くゼツに抱きつきながら、わたしはまた泣きそうになった。
「入るぞ。・・・・・・ゼツ、」
「違ウゾ。久遠ガ勝手ニ抱キツイテキタンダ」「ふて寝だよ。オビトが帰ってこないから」
「寝てるのか?」
近づいてくるオビトに何故か起き上がれなくて、そのまま目を瞑る。
オビトの手がわたしの頭を撫でて、髪の毛を耳にかけた。
くすぐったい。
「誕生日おめでとう、久遠。狸寝入りはよくないな」
「・・・っ!」
「遅くなってすまない。それとも本当に寝ているのか?」
いじわるなオビトのセリフにわたしは飛び起きて、そのまま彼の腰に抱きついた。
「ありがとうオビト、おかえりなさい」