眠そうな目をしているとかそんなことは関係ないんだろうけど、敦は朝にとても弱い。
幼馴染みのわたしは小さい頃からなにかと敦と一緒だった。
家も隣で、敦とわたしの部屋は窓から侵入できるくらいの近さだ。
子どもっぽい敦の世話係は当然わたしな訳で、毎朝敦を起こすのもわたしの仕事だ。

最初はいつも窓越しに敦の名前を呼ぶ。あつしー!朝だよー!起きろー!
大抵敦は起きてくれない。
眠そうな声で、んー・・・、と返事をするだけで、起きようとはしないのだ。

わたしは一回ため息を吐いて、仕方なく身を乗り出す。
こんこん。窓を叩いて、敦!起きなって!
も ちょっとだけ・・・ やっぱり敦は寝返りをうつだけで起きてくれない。

段々苛立ってくるわたしは、半ば投げやりに敦の部屋に跳び入って彼のベッドにダイブする。
そして彼の髪の毛を軽くグイグイ引っ張って、耳元で叫んでやるのだ。
遅刻するってば!
もう一度寝返りをうってわたしを見上げた敦は、眠そうな眼差しのままわたしに手を伸ばす。
久遠ちんも寝るー?ほら、おいで。
仮にもイケメンなこの幼馴染みの「おいで」にはかなりの威力があって、不覚にもわたしは一瞬胸を高鳴らせてしまうのだ。

寝るわけないじゃん!ほら早く起きっ、!?わっ!?
んー、久遠ちん抱き心地サイコー
はーなーせっ!馬鹿!
もーどうせ遅刻なんだしこのまま寝ちゃわないー?

押し負けたわたしが敦の布団にもぐりこむまで、あと五秒。

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