※現パロ注意



ジャンが好きだって言ってたワンピースを着て、ナチュラルメイクを施して、いざ出陣。
玄関の前で待ってくれてた彼はあたしの姿を見るなりうろうろと視線をさ迷わせ、乱暴にあたしの手を取って行くぞと呟いた。その耳は少し赤みを帯びている。

可愛らしいなぁ、けど、ジャン?
デート、これで何回目だと思ってるの?

思ったことをそのまま言えば、「は?23回目だけどなんだよ?」と至極細かな返答。
だったらデートするたびにあたしを見て照れるのやめようよ。嬉しいけど!


「べっつにお前がめちゃくちゃ可愛いからってそんなこと思って照れてるわけじゃ、」
「ごめんあたしが恥ずかしいからこの話題やめよ」


無意識って怖いよね。犯罪レベルに罪だよね。


***


左手に感じていたぬくもりが、ない。
まあ簡単に言えば、迷子になったの方が正しいだろう。・・・なんて、余裕ぶってる場合じゃないけども。

こんな時に限ってスマホの電源は切れてるわ、休日だからか人が多いわでジャンを探すのも困難だ。泣きたい非情に泣きたい。


「ジャーンー・・・」


大きな声を出すのは少し抵抗があるから、意味のないくらい小さな声で彼の名前を呼ぶ。
もちろん返事があるわけなくて、でも心のどこかでは「なんだよ」ってぶっきらぼうな言葉で返してくれるかな、なんて期待したりして。
だから手ぇ放すなっていつも言ってんだろ!なんて怒りながらも心配してくれそうなジャンを思い浮かべて、また泣きたくなった。


「だから手ぇ放すなっていつも言ってんだろ!」
「え、え?」


突然後ろに引っ張られ、大きなぬくもりに包まれて浴びせられた怒声は彼のもので。
急いで振り向いて顔を確認すれば、息を切らしたジャンがそこにいった。


「ジャン!」
「この馬鹿!アホ!マヌケ!死ね!」
「い、ったい!痛い!そんなきつく抱きしめないでよ馬面!」
「誰が馬面だ心配させやがって!!ふざけんな!」


言葉とは裏腹にきっちりとあたしをホールドして逃さない腕に、あたしは口元がにやけるのを我慢できなかった。


「・・・なに笑ってんだオイ」
「だって、んむ!」
「しっ、心配!したんだからな!!」


一瞬真っ暗になった視界が開けたとき、目に映ったのはやっぱり真っ赤な顔のジャンだった。

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