真剣な顔で、サソリが薬の調合をしている。
それを寝転んで見つめながら、久遠は咳をした。喉が痛い。

今朝風邪を引いてしまったと言ったとき、馬鹿は風邪引かないとかなんとか聞くが、ありゃデマカセだなと鼻で笑ったサソリ。
少し、いやかなりムカついたがこうやって部屋まで来て薬を作ってくれるのだから、中々憎めない。
久遠はぼーっとする頭でそんなことを考えながら、もぞもぞと寝返りをうった。


「おい久遠」
「・・・んー・・・?」


見た目に似つかない低い声。
名前を呼ばれて振り向けば、なにか変な色をした薬を手に、サソリが佇んでいた。
久遠は即座に寝返りをうった。


「てめぇ逃げんじゃねぇ」
「けほっ・・・、やだそんないかにもな色した薬・・・!」
「仕方ねぇだろ毒薬しか作ったことねぇんだ」
「ますますやっ、だっ、こほっ」


掛け布団を口元まで引き上げ、頑なに拒む久遠に、サソリは顔を険しくした。


「毒薬しか作ったことねぇとは言っても、風邪薬が作れねぇわけじゃねーよ。調合は完璧だからさっさと飲め」
「・・・その色、なんとか」
「ならねーよ。諦めろ」


それでもなかなか布団から出てこようとしない久遠に、サソリはため息をついて力ずくで布団をはがす。
小さな悲鳴を上げる久遠の頭を片手で固定し、持っていた風邪薬を自分の口に含みそれを彼女の口まで運ぶ。あっという間の出来事、久遠は流れ込んでくる苦味に顔をしかめた。


「・・・にが・・・」
「良薬は口に苦しってだ」
「・・・・・良いこと言ったつもり?」
「お前が元気ねぇのは見てて気持ち悪いんだよ」


早く治れボケ。

久遠はゆるく笑って、頷いた。

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