私の彼氏であるベルトルトさんは、大変なヤキモチ妬きである。
例えば私がライナーと雑談していたとしよう。
「ライナー明日ってなにするっけ?」
「明日は主に座学だな。お前はあまり得意分野じゃないだろ」
「そーだねー・・・アルミンにでも教えてもら「そんなの僕が教えるよ・・・」
怖い顔をしたベルトルトさんのご登場である。
今なら何人かかってきても殺せるような目でライナー(仮にも親友のはず)を睨みながら、グイっと私の腕を取って引き寄せる彼。
ライナーはまたかとでも言いたげな顔だ。
「クオンに手取り足取り腰取り座学を教えるなんてしていいのは僕だけだよ」
「座学でどうやって手取り足取り腰取りしながら教えるんだベルトルト」
「たとえライナーでもクオンに手を出したら許さないからね・・・」
「いやオレの話を聞けベルトルト。その前にクオンに手を出すつもりも毛頭ない」
「行こうクオン。変な虫が寄り付く前に」
「あれオレって親友だよな?だよな?」
しきりに首をかしげるライナーごめんなさい。
私は抵抗(する気はないけど)するまでもなくベルトルトに連行されるのだった。
例えばアニと隣同士に座ってご飯を食べていたとしよう。
訓練生の中では一番の仲良しといってもいいアニとは、毎回ご飯を共に食べる。
会話は少ないけど、話し上手じゃないお互いにとってはベストな友人だ。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「あ、アニそれちょうだい」
「はい」
「ありがと」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「あ、アニこれ食べ「僕が食べる!」
「出た」
アニもライナーと同じようにまたかという顔をして、ため息をつく。
アニにあーんしようとしたブロッコリーはペロリとベルトルトが食べてしまった。
そしてすごい形相でアニを睨んで、私に向き直って言うのだ。
「僕いつも言ってるけど、食べれないものがあったら僕のところにおいでよ。君が残したものならいつでも食べてあげるから。たとえそれが馬糞でも!」
「待ってベルトルト馬糞は食べないでってか食事に馬糞なんか出ないから」
「それくらい本気ってことだよ」
「本気になるところがおかしいと思うよ」
「クオンはアニと僕どっちが大事なの!?」
「関係なさすぎて返答に困る!!」
とんでもないことを大声で言うベルトルトの顔は真剣そのもので、隣でご飯を食べ終えたらしいアニがご愁傷様とでも言いたげな瞳をよこしてきた。
以前、アニに聞かれたことがある。
なんでベルトルトと付き合ってるかって?
そりゃあ好きだからに決まってる。
こうやってちょっとずれた愛し方をしてくれるところも、嫉妬してくれるところも、優しいところも。
全部全部大好きだから。
「今度から僕もクオンの隣で食べる。アニには負けない」
だけどベルトルトさん、勝ち負け以前にアニは女の子だから。