「祭りと言ったらー?」


久遠が右手を掲げてメンバーを見渡す。
無意識のうちに転生前組んでいたツーマンセルの相方と顔を見合わせたそれぞれは、小さく首をかしげた。


「はぁんっ!サソリさんとデイダラちゃんの顔を見合わせてかーらーの首をかしげる動作やばたんきゃわたんっ!!もっかいやってください!」


ぐわっと二人に飛びついていったが、あっさりかわされる。
そして地面と挨拶しそうになった久遠を慌てて保護する長門。いつもの光景である。


「だいじょうぶか久遠?」
「だいじょうぶっていうかむしろ長門の腕の中なわけでこれは幸せなわけでうふふふふ」
「・・・頭の方はだいじょうぶなのかよ、うん」


真顔で問うデイダラに、久遠は心配してくれるのデイダラちゃああああんと通常運転だ。夏祭りに来たばかりだというのに、もう疲れそうだ。


「で、祭りと言えばなんなんだ」


オビトが話を無理矢理戻そうとしている。そんなオビトの意図をくみ取ったイタチは、アレはどうだと適当に屋台を指差した。


「・・・射的?」


小南がゼツ二匹を抱きなおしながら呟く。
おもしろそうだな、やろうぜと一目散に走り出した飛段。角都がやれやれと首を振った。

どうする?と一応久遠の顔を覗きこむ長門は、キラキラと目を輝かせる彼女に少しの嫌な予感がした。


「・・・ねぇ長門っ・・・!」
「な、なんだ?」
「なんか、コスプレいしょうとかあるかなっ!?サソリさんやデイダラちゃんあわよくばイタチにも着てもらいたいなぁっ・・・!!」


欲望の塊だった。
まぁこれが久遠かと割り切っている角都に比べ、長門は返答に困りそうだな、と曖昧に笑うことしかできなかった。


***


「オビト、ネコ耳カチューシャねらって!!」
「・・・お前の考えはわかりやすいな。だれ用だ?イタチか?」
「そうだね、イタチにつけるなら黒がいいかなやっぱ。いやでもここはあえての赤をイタチがつけて黒をサソリさんにつけて・・・」
「お前ら撃ち落とすのぜんていで話すすめてんなよ、うん」
「オレはぜってぇつけねぇからな」
「そんな!ひどいですよサソリさん!!」
「ひどいのはどっちだコラ!オレに恥をかけとでもいうのかてめぇは!」
「いえっさごふ!!」
「しずめ永遠に」


またもや倒れこんだ久遠に、心配そうにかけよる長門。
イタチはもはや聞こえないフリを突き通している。


「っしゃぁ!とれたぜぇ!」
「ええ!?なになになにをとったの飛段!」


沈んでいた久遠だが一気に起き上がって飛段の元に駆け寄った。
自慢げにとったものを見せる飛段。健康サンダルとかいらねぇ。久遠はすぐさま回れ右をして銃を構えるオビトの元に走った。


「おい久遠!健康サンダルとったんだぜぇ?」
「いらないよそんなの。あたしはコスプレいしょうがほしいの」
「痛気持ちいんだぜコレェ!最高だろ!」
「うんいらない飛段がとったんだから飛段がはけばいーじゃん」


自分の望むもの以外に興味がない久遠であった。


「オビトネコ耳だよネコ耳」
「・・・はあ、たく・・・」


ぱんっ

発射された銃弾は、綺麗にネコ耳カチューシャに当たって落ちた。
さすがは元忍。久遠は叫びに近い声を上げながら傍にいた長門に抱きついた。


「やったああああああああああ!!!イタチ!どこ!?サソリさん!デイダラ!!」
「・・・その三人とも、どこかへ避難したわよ」
『けっこう本気で逃げてたよね』『プライドガ許サナイノダロウナ』
「・・・地の果てまでもおいかけてつけてもらおう!」
「あ、こら。迷子になるからだめだ」


走りかけた手を長門に掴まれ、久遠の夢はあっさりと砕け散った。
うぅっ・・・と泣き崩れる久遠に若干の罪悪感を感じてしまう長門。よしよし、と頭を撫でてあげている。
一番久遠に甘いのは長門だと思う。オビトは小南と目を合わせ、肩をすくめた。


「・・・いいもん。院に帰ってからつけてもらうもん」
「いい加減あきらめろ」


財布の中身を確認している角都に突っ込まれる。

しかし、もはや祭りよりネコ耳をつけた三人の姿を妄想している久遠には、何も聞こえないのであった。

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