或る晴れた、晴れすぎた夏の日。
世間一般では、今日は猛暑日というくくりに入るらしい。


「あーづーいーーーー」


冷たいフローリングの床に肌をピッタリとくっつけて寝転んでいる久遠。
ソファーにはオビトが、同じようにのびている。
オビトでも暑さは感じるんだなーとくだらないことを思いながらも口に出すほどの元気はなかった。

なんだこの異様な暑さは・・・、

ソファーでのびているオビトがそう呟いた。
久遠もまったくもって同じ心境だ。まるで蒸し風呂。
先ほどから扇風機を回しているが、空気自体が暑いため生暖かい風しかこない。本当に気休め程度のものだった。


「地下にあるアジトなのになんでこんなに暑いのー・・・」
「・・・知らん、地下に聞け」
「どうやって」
「叫んでみろ」
「地下あああああああああああ!暑いぞこらあああああああああ!」
「うるさい」
「叫べって言ったのオビトじゃんか」
「いいから黙れ暑苦しい」
「なにこの理不尽さ」


・・・二人とも暑すぎて頭がおかしくなっている。

そろそろここも自分の体温で温かくなってきた、久遠は生暖かいフローリングから冷たいところに移動しながら、ふといいことを思いついたようにかしわ手を打った。


「そーだよオビト!雨!雨だよ!」
「・・・は?」
「雨隠れって雨降ってるでしょ、イコールここより涼しいんじゃ!?」
「・・・その手があったか」


そうと決まればとっととこんなクソ暑いアジトとはおさらばである。
かがんで背中を見せるオビトに覆いかぶさった。


「・・・あつ」
「あたしだって暑いよバカ!」
「お前、汗かきすぎなんじゃないか?湿ってる」
「だって暑いんだもん、てか逆にオビトはそんな長袖長ズボンで暑くないの?汗やばくないの?」
「忍だからな」
「忍関係ない上に不思議すぎる!」


ぎゃあぎゃあと言い合いしながら、二人は雨隠れに向かった。


***


「・・・ああ、マダラに久遠。いらっしゃい・・・」
「・・・なにか用か?すまないが今は見ての通り、」


ぐったりと椅子に座り込むペインと小南を目の当たりにした久遠とオビトは、顔を見合わせた(仮面だが)。

イン雨隠れ。
ざあざあと雨が降るここだが、アジトより湿気がやばい。
立っているだけでなにもしていないのに汗が滝のように流れ出る。

久遠は汗か涙か分からない顔のまま床にくず折れた。


「なんなんだこれっ・・・!蒸し地獄かっ・・・!」
「雨隠れのほうが湿気が多い分さらにジメジメしていて気持ちが悪いな。不快だ。なんとかしろペイン」
「雨隠れから雨をとったら何が残る」
「耐えるのよマダラ、久遠」
「帰りたい切実に帰りたい・・・!」


もはや暑さと湿気で普段のキャラを保ててないペインと小南に、久遠はアジトが恋しくなった。
もう動く気力もないのか、隣に座り込むオビトに倒れこむ。
くっついたらさらに暑さが増すのだが、もうこのさいくっついていようがいまいが同じように感じた。


「・・・夏にここに来るのはやめておこう。オレは雪の国に行く」
「ちょっとマダラずるい。あたしも連れてってよ」
「お前を連れて行ったら他の連中がうるさいから駄目だ。アジトでおとなしく戯れてろ」
「みんな暑さで構ってくれないよ絶対・・・!」


とにかく暑い日に雨隠れは自滅するだけ。
二人はそう結論付けた。

雨隠れの長を務めるのも大変だなーと、暑さでくらむ頭でそんなことを考える久遠であった。

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