※五年後設定
「はうあうあ〜っ・・・!」
十歳。小学四年生である。
すでに色々な変態専門用語が頭にインプットされている久遠の変態っぷりは、今日も絶好調だ。
様々な色のランドセルが隅の方で一塊に置いてある。
そして、色とりどりの髪の色をした小学生達が、ひとつのものを囲んでなにやらわいわい騒いでいた。
「おい久遠イチゴ取れイチゴ」
「どうしようサソリさんがイチゴとか言ってる!萌え!」
「燃え?」
「あばばば熱いですマッチ近づけないでくださっ!」
「つーかなんでこの季節にマッチなんかあるんだよ、うん。・・・こっちが暑い」
「対久遠用だ」
「「「「なるほど」」」」
頷くイタチ、デイダラ、飛段、角都に久遠はなんですか対あたし用ってと嘆いた。
そのままの意味である。
溶け出している大きな氷の塊を目に留めたオビトが、
「早くしないととけるだろう」
がりごり、自分の分のカキ氷を作り始めた。
サソリに至っては、すでに作った氷クズにイチゴのシロップをかけていた。久遠がそんなサソリをむふふーとなんとも気色の悪い笑みを浮かべながら見ている。サソリは慣れきっていたのでスルーした。
「マダラは何をかけるんだ?」
色とりどりのシロップを興味深げに眺めていた長門が問う。
しゃり、隣で小南がブドウ味のカキ氷を咀嚼している。
「オレはオレンジ味にしてみよう」
「ぶふぉっ!!」
「・・・飛段、今何故笑ったのか十文字以内で言ってみろ」
「いて!いててててででで!?いてぇよオビト!気持ちいいけどよぉ!」
「・・・」
飛段の久遠とはまた違う意味での変態発言に、無言でスススと遠ざかるイタチ。
両方の拳で頭をグリグリしていたオビトもまた、気持ち悪さに自ら離れていった。
「フン、どうせトビの時の仮面と同じ色だからそれに吹いたのだろう」
「お、すげぇな角都。なんでわかったんだぁ?」
「馬鹿の考えることは大抵分かるものだ。何年一緒にいると思ってる」
「馬鹿だって、飛段バーカ!」
からかう久遠も見た目が馬鹿っぽいことは、言うと面倒くさいことになるので言わまい。
「ほら、久遠の分だ」
「ありがとうイタチ!イタチの愛の結晶を一生保管するね!」
「いや食べろ、うん」
「見て、長門。舌が紫色になったわ」
「ん、ああ本当だ。ブドウ味だったからな。・・・あ、久遠はどのシロップがいいんだ?」
「そいつにはそれ、その変な色したやつでも渡しとけ」
「げぇっ!?クッセ!なんかコレ臭ぇんだけど!?鼻もげるぜこれ!」
「・・・サソリ、シロップになにか調合したものを入れたのか?金の無駄使いはするなとあれほど・・・」
「オレンジ味・・・なかなかイケるな」
ソファーに伸びていたネコ二匹が、閉じていた瞼を持ち上げて顔を見合わせた。
『今日も暁は騒がしいねぇ』『ソウダナ』
まぁ悪くないけどさ。
そう白ゼツは呟いて、少しでも涼しい場所を求めて移動した。