外に出て思った。
オレも久遠に相当惚れ込んでるのかそうでないのかは別として、こいつは案外可愛い部類に入るのではないだろうか。

夏祭りという夏の醍醐味に参列しているオレと久遠だが、久遠以外の女がどうにも可愛く映らない。
もっと言えば、久遠が一番可愛く映ってしまうのだ、この目には。危うい。実に危うい。


「オビト?」
「、なんだ」
「なにぼーっとしてるの?迷子になっちゃうよ」


それはお前がか、それともオレがか。
問えば、オビトがに決まってるじゃんと即答された。イラついたので少し強めに叩いてやった。
案の定痛がる久遠。知らん。


「いったいなもー。オビトはすぐ手が出るんだからさ」
「お前がいちいち癪に障るようなことを言うからだ」
「正論を言ったんだよ正論をっ」
「どう考えても迷子になるのはお前だろう」
「なにをうっ」
「やるか?」


一応これでも体術は得意なほうだぞと拳を覗かせれば、久遠はそそくさと財布を取り出してわたあめを買いに行った。
賢明な判断だ。

そして戻ってきた久遠の手には、特大のわたあめが。
・・・なんだそれは。
ほかにわたあめを持ってる人と見比べても明らかに大きなそれに、オレは眉間にしわが寄っていくのを抑えられなかった。


「なんかね、可愛いからって特大にしてくれた」
「誰だそいつは指を指してみろ得意の体術で一泡吹かせてやる」
「オビト目、目が本気だよ怖いよ長門みたいだよ」


どうどうと諌める久遠。これが黙ってられるか。
どこのどいつだ久遠に媚を売る愚か者は。

と、そこまで考えて我に返った。
一体何に嫉妬しているんだオレは。バカか。
少し熱くなっていた頭を先ほど購入したラムネで冷やす。
そんなオレを、久遠はふしぎそうに見ていた。


「・・・・」
「・・・・」
「・・・オビト」
「、なんだ」
「いる?」
「・・・・・・ああ」


差し出されたわたあめを少し口に含む。
甘みと、・・・すこしの幸福感が口内に広がった。

こんな少しのことで気を良くするオレは、かなりゲンキンな奴だと思う。
誤魔化すかのように、久遠の口の周りについた砂糖を拭ってやる。

ふんわりと笑う久遠も不覚にも高鳴る胸は、きっとこの暑さの熱にやられてるからだと思いたい。

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