※現パロ
「どうだーっ!」
浴衣を着たら少しくらいおしとやかで清楚な感じになると思ってたオレがバカだったよ。
せっかく祭りなんだから浴衣を着ると言ったクオン。
適当にあしらったけど、少しだけ楽しみにしていた。
仕方ねぇだろ、こいつは普段ショーパンしかはかねぇ男勝りな奴だ。ギャップ萌えって言葉があんだろ?
なのにだ。
「浴衣着てんのに暴れまわってんじゃねーよサル」
「だっておしとやかとか柄じゃないもん」
「・・・まさか下に体操ズボンはいてるとかじゃねーだろうな?」
「え、ジャンすごい!なんでわかったの!?」
もうなんか、わかってたけどこうもあっさり期待を裏切られると、やけくそにもなるってもんだ。
痛む頭に気づかないフリをして、オレはクオンの手をとる。
行くぞ、と振り向かずに言えば、顔赤いけど大丈夫?と本気で心配された。
一発殴ってもいいかなコイツ。
普段雑に下ろしてる髪の毛を頭上で団子なんかにするから、不覚にも可愛いなんて・・・思っちまうんだよボケ!
***
「ジャンー!あれも買お!」
「おまっ・・・まだ食うのかよ!?」
こいつは本当に女なのか、そもそも人間なのかすら危ういんじゃねぇか。と思ってしまうほどには先ほどから食ってばかりのクオンに、もはやため息しか出てこねぇ。
ムードのへったくれもない。夏祭りなんかクソ食らえだボケ。
「えっと・・・150円」
「オレが出す」
「え、いいし自分で買うし」
「こーいうのは男に出させときゃあいーんだよ。待ってろ」
それでもこいつを甘やかしてしまうのが、惚れた弱みというやつなのか。
考えて悔しくなったから、無防備にも立ち尽くすクオンの頬に買って来たわたあめを押し付けた。
そのままかぶりついてくるもんだから、しかもその仕草が可愛いもんだから・・・あークソ、もう駄目だなオレも末期だ。
ジャンも食べなよこれジャンのお金だし、と申し訳なさそうに眉尻を下げるこいつは、意外にも律儀なのだ。意外にも。大事だから二回言ったぞ。
「オレはいい。お前全部食え」
「・・・ジャンって案外優しいよね」
「おー知ってる」
「ジャン好きだよ」
「・・・知ってる」
楽しそうに笑うクオンを見て、幸せな気分になるオレも、存外コイツに惚れこんでるのだ。