久遠といると、そう、時々苦しくなることがある。
久遠限定だから病気ではない、とは思うが、いや、久遠がなにかの細菌?病原体?的なものを運んで来ているのだろうか。
だがペインや小南は平然としていた。
とにかく、苦しい。
だから、避けてみても苦しさは増すばかりで、ついでに避けた時の久遠の悲しげな顔を見てしまい愚かな自分を呪った。
オレの不始末はオレだけで片付けるべきだった。
「トビー」
「なんすかぁ?」
痛む胸に気づかないフリをしながらおどけた様子で返事をする。
久遠に対してのオレは"トビ"であり、"マダラ"でも"オビト"でもない。
それがまたなぜか胸を痛める。なんなんだ、これは・・・!
「どっか痛いの?」
「は?なんでっすか?」
「なんか、痛そうな顔してる」
仮面をつけているのに、見えるわけがない。
そう言ってまたおどけようとしたが、久遠の顔が真剣そのものだったので思わずつけ忘れたのかと確認してしまった。
仮面はある。
「・・・も、ー!冗談はやめてくださいよ!仮面してるのに」
「えー?でも、痛そうだよ?」
「どこも痛くないっすよ!元気!」
痛い。痛い、本当は痛い。
ものすごく、胸ばかりか頭も体全体が痛くてたまらない。
久遠を遠ざけても近づけても、痛くて痛くてたまらないんだ。
この痛みを止める方法は、オレが死ぬか、久遠が死ぬかのどちらかなのか。
それとも、殺してさえくれないのか。
「あんまり無理しちゃダメよー」
よしよし、と久遠がオレの頭を撫でる。
身長差から、背伸びしながら。
これは、この痛みは。
この感情は、昔の青かった時のオレと酷似している。
「・・・久遠先輩、」
「んー?」
「そういえばずっと、心臓が痛かったんす」
「ええっ!」
全部、お前のせいだ。
「オレは知ってるこの痛みを感情を知ってる憎いくらいに知り尽くしてる、痛い痛い痛い、全部、全部全部久遠のせいだ」
同時にとても、いとおしい。
「と、び?」
「なんすか?」
「いや、え?わたしのせいで、痛いの?」
「そう。責任とってくれますか?いや、とれ」
久遠の視界を覆って仮面をはずし、その首筋に歯をたてる。
「お前もオレと同じ痛みを味わえばいい」
オレで頭をいっぱいにしてしまえ、