調査兵団に所属し、兵士長でもあるリヴァイと同じ時を過ごせる時間は少ない。
たとえ同じ時を過ごしていても途中で収集が入ったり、それから何日か帰ってこなかったり、彼と触れ合える時間は本当に少ない。

割り切れているつもりでいた。
調査兵団であるリヴァイと恋人という関係になるのは、きっとどんな人と付き合うよりも難しい。
そう、わかっているのに、

ため息をひとつ吐く。
最後に彼に触れたのはいつだろうと、手のひらを見つめた。
一人分の食器しか洗わない自身の手は、荒れることはない。

この手が穢れることがないように、と彼はいつも言っていた。


穢さねぇ、絶対。


あまり表情の崩れない彼が真剣な顔でそう言ってくれるのが好きだ。
愛されてるって実感できるあの瞬間が好きだ。
その後に振ってくる彼にしては優しい口づけも、みんな好きだ。

でも、なにより、


ギィ...


扉が開く音がして、クオンは振り返った。
そこには、愛しい愛しい、待ち焦がれた彼が立っていた。


「リヴァイ・・・、」
「・・・・・・」


服や体についた汚れをとろうと布を持って立ち上がる。
が、しかしすぐに椅子に押し戻され、そのまま唇に噛み付かれた。

くぐもった声が部屋にやけに大きく響いたように思えた。
艶かしい、舌と舌が絡まる音。
肩に置かれていたリヴァイの手は、いつの間にかクオンの頬に添えられていた。

逃げても逃げても追いかけてくる、リヴァイの舌。


「・・・っ、ん、ふっ・・・」
「、・・・」


視界いっぱいに広がるのは、憤りや悲しみを含んだリヴァイの瞳。

そう、クオンはなによりも、自分の弱さを見せてくれるところが好きだ。


「は、リヴァ、」
「・・・お前は、穢さねぇ」
「・・・ん」


今回は何人、死んだのだろう。
そしてリヴァイの"傷"は、どれだけ深くなっていくのだろう。


「クオン」


そして彼は、柄にもなく呟いた。


ア イ シ テ ル




世界のどれだけが、愛し愛されるのだろうか。
その答えは、リヴァイにもクオンにもわからなかった。

そしてまた影は重なる。

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