「知ってましたかイタチ兄さん」
「なんだ」
「今日は女の子のワガママをなんでも聞いてあげなきゃいけない日なんですよ!」
「知らなかった」
「あぁん待って行かないでください!」
「・・・」
「ちょっ、えっ、マジで!暇なんですよぅっ」
「本音が出たな」
「(あ、止まってくれた)・・・イタチ兄さんんんっ」
「なんだ。・・・あまり抱きつくな、少し暑い」
「愛してますうっ」
「何度も聞いた。バカの一つ覚えみたいに・・・よくやるな、お前も」
「言葉に出しても出しても足りないくらい愛してますからねっ」
「・・・そうか」
久遠はそうですよと言って笑った。
そんな彼女の頭を撫でてやれば、さらに嬉しそうに目を細める。
憎まれる立場にあるオレにとって、その言葉はどんなものよりも深く重く心を揺さぶり、そして抉るのだ。
そして、少しのむず痒さを残していく。
新鮮な、感覚。
「・・・久遠」
「はいっ」
「暑い。そろそろ離れろ」
「いーやですっ」
だからこそ、失いたくない。
与えられる無償の"愛"を、この先も、ずっと。
「・・・今日は、体調は大丈夫なんですか?」
「、ああ」
「あまり無理しないでくださいね、」
「・・・ふ、心配するな」
オレの命在る限り。