デイダラはいじわるである。

サソリに並び、いやもしかしたらそれ以上にSかもしれない。

なんでか。

まず、朝あたしを起こす時。
あたしは大抵口を閉じて寝てる人だ。これまで一度もヨダレがたれたことはない。自慢である。
デイダラはそんなあたしを起こすために、わざわざ鼻をつまんで息をできなくしてくるのだ。
そんなことで起きるほど都合のいい体をしてないあたしは、反射的に口を開けて空気を吸おうともがく。
鼻をつまむだけならまだいい。
鼻をつまんだままキスなんかしてくるから質が悪いのだ。殺す気か。
いつもそれで目が覚めて、いきなりデイダラのドアップが視界いっぱいに広がるもんだから心臓に悪い。
しかもそのまま口内を乱されるし、朝から甘ったるい空気になるのは必然。
ベッドから出るのが二時間後な結果になることだって稀じゃない。
腰がくだけるわ!

もっと酷いのは風呂上がり。
ポタポタと彼の髪の毛から滴る滴や少し赤い頬、見え隠れする鎖骨にドキドキしないわけないじゃないか。
だからなるべく目を合わせないようにしてるのに、デイダラはわざわざあたしの目の前に座って顔を覗き込んでくるのだ。
どうした?って聞かなくてもわかってるクセに、そのままあたしの頬を優しく撫でて優しくキスしてくる。
もう頭がクラクラだわ。

寝る時。
あたしが人にくっつくと安心して眠れるのを知っていて、デイダラはわざとあたしから離れようとする。
暗くて見えづらいけど、笑ってるに違いない。
やられっぱなしは癪だからくっつくのを我慢して寝ようとすれば、デイダラは今度は喉の奥でくつくつと笑う。
くっつきたい、でも悔しい、でもくっつきたい。
結局いつも負けるのはあたしで、デイダラと弱々しく彼の名前を呼んでしまう。
デイダラはそんなあたしにそれ以上はいじわるをせず、優しく背中に手を回してくれる。

そして、朝を迎えてエンドレス。


「デイダラはいじわるだ」
「久遠がマゾなだけじゃねーの、うん」


いつもそう言って笑うデイダラ。
回し蹴りをしようとしても簡単に受け止められて、そのままデイダラの腕に収まってしまう。

でもデイダラは、いつもキスをしてくれる時、小さく呟くのだ。


「好きだぜ、・・・うん」


ああ、幸せだなって感じるのは、やっぱりあたしがマゾだからなのか。
そうじゃないことを祈りながら、降ってくる口付けに目を閉じる。

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