「サソリさん・・・」


神妙な面持ちでオレの服の袖を掴む久遠に、若干身構える。
あ?と先を促せば、こいつは言いにくそうに俯いた。

・・・なんだこいつ。
妙にモジモジして待たせやがって。オレの気が長くねぇのはお前が一番よくわかってんじゃねーのかよ。

チラ、と見上げてくる久遠。
・・・なんか、角度的に、可愛く見えるような。


「あの、絶対yesって言ってくださいね?」
「は?」
「絶対ですよ?」
「いや、ちょっと待、」
「あたしとデートしてください!」


いつの間にかガッチリと腰に巻き付いている久遠から、逃げれるはずもなかった。


***


「あ、見てくださいサソリさん!可愛いアクセサリー!」
「あー」
「どうですか?似合いますかっ」
「おー」


オレの手を取りながら嬉しそうに笑う久遠に、適当に相づちをうつ。
別段気にした風もなく、久遠は商店街を進む。
ヒルコを着てこなくて正解だったな、こんな人混み。
人酔いしそうだ。

そしてちゃっかりというかこいつらしいというか、いわゆる恋人繋ぎで繋がれている手。絡まる指。
なんだこれデートか。
デートなのか。


「おい久遠」
「はい、?」


それなら今はデイダラや飛段みてぇな邪魔もいねぇわけだし、十分に堪能してやろうじゃねぇか。

オレは振り向いた久遠を引き寄せ、手に持ったアクセサリーを頭に添える。


「・・・こっちのがお前らしくて似合うんじゃねーの」
「っ!」


ぽんっ、と音を立てて久遠が赤面した。
普段なりふり構わずつっこんでくるから、こういう反応は新鮮で少し、いやかなり笑える。

思わず吹き出してしまった。


「いっ、いきなりそんな、・・・サソリさんずるい。かっこよすぎますからバカ!!!」
「おい文脈おかしいぞ」
「もう大好きですバカァ!!!!」
「・・・知ってる」


バカはお前だ、バカ。
なんとも思ってない奴からの誘いなんざ断るに決まってる。

それの意味、わかるだろ?

まだ言わねぇけど、いつかわからせてやるよ。

最後にお前の隣にいるのは、オレだ。

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