疲れた。
任務が終わった後はいつも、この一言に尽きるな、うん。

沈む太陽を見ながら、オイラは旦那も一緒に乗せて低空飛行を続ける。
旦那のやつ、ヒルコぶんが重たいんだよちくしょう。
自分は乗るだけだからって楽しやがって。
大方、ヒルコの中でのんびり景色を眺めてんだろーな。傀儡に疲れとか感じねぇくせに、帰りはいつもこうだから余計に疲れる。

くぁ、とあくびをして前方を見る。
少しだけ緩んでしまう頬。
アジトが見えてきた。


***


「おかえりデイダラちゃん!サソリさん!」
「おー」
「抱きつくな!うん!」


本当は少し嬉しいのに、正反対の言動しか取れないオイラ。
そんなオイラすらも気にしないで自分の好きなように振る舞う久遠は、ある意味すげーと思う。
だって普通、こんな愛想のないやつ嫌気がさしてくるだろ。うん。


「今日は朝から会えなかったから芸術コンビ不足だっ!てなわけでデイダラ抱き締めさせて」
「キモい」
「照れなくていーってばぁ」
「死ね」


問答無用で抱きついてくる久遠に、少しだけ抵抗して見せて、後は好きなようにさせてやる。
本気でキモかった時は遠慮なく喝を入れるが、それ以外の時はオイラも耐性がついてきた。

・・・まぁ、疲れた後の癒しにも、なるし・・・うん。

そんなこと絶対言ってやらねーけどな!


「はぁ・・・オレは部屋に戻るぜ」
「えー!?まだサソリさんを補給してないのに!」


そう言いながらも、久遠の腕はオレの腰に回ったまま。

ん?なんか変だ。

いつもなら、旦那も久遠に抱きつかれるまで待ってるのに。
今日はそそくさと部屋に戻るし、久遠も久遠であっさりと見送るし。

・・・なんか企んでねぇよな?


「デイダラちゃーん」
「なんだよニヤけんなキモい。うん」
「ふっへへへへ・・・!デイダラちゃん好きだよ!」
「っわかったからいい加減放れろ!もう十分抱きついたろ!」


本当はもう少し抱きついててほしいけど、心臓がやべぇ。
聞こえちまわないように、放れてもらうしかねぇ・・・!

そんなオイラの心情は露知らず、久遠は嬉しそうに笑った。


「デイダラ、誕生日おめでとう!」


心臓が跳ねた。


「・・・は、」
「えー自分の誕生日忘れてたの?もー、なんで暁のみなさんはこんな、自分の誕生日に無頓着なのかな」
「いや、え?」


誕生日は覚えていた。けど、今まで面と向かってそんなことを言われたためしがねぇから、まさか、祝ってくれるなんて・・・思わねぇじゃねーか・・・

うわ、なんだこれ・・・嬉しい、ぞ・・・うん。


「・・・さんきゅ」
「デイダラのデレの瞬間ゲッツ☆いやぁ悪いね、デイダラの誕生日なのにあたしがプレゼントもらっちゃって!」
「・・・べつに、いい。うん」


毎日もらってっからな。

だから、今日くらいは、少し素直になってやる。


「・・・お、オイラ、も・・・お前のことっ、きっ嫌いじゃねえぞ、・・・うん」


久遠の顔が嬉しそうに綻んだ。

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