「デイダラちゃん見てー」
「うん?」


リビング。
任務の入っていないデイダラは、ソファーでくつろぎながら粘土をこねていた。
別段集中していたわけではないため、すぐに声がした方に視線をやった。
そして、眉を寄せた。


「デイダラちゃんの髪型してみた!」
「・・・ふざけてんのかテメー、うん」
「いたって真面目です」


デイダラと同じように頭のてっぺんで結われた髪の毛は、しかしデイダラのような髷にはならず噴水のように散らばっていた。
額に青筋を浮かべたデイダラが、なにやってんだコイツ・・・と舌打ちをする。


「てゆーか逆にどうやって結ってるの?ワックス?」
「ワックス?なんだそれ」


聞き慣れない単語に首をかしげる。
ワックスでもしなきゃそんな立派な髷完成しなくない?と久遠はデイダラの髷をつついた。

ワックスなど使った様子のない、ふわふわとした感触だ。
久遠はますます訳がわからなくなって眉を寄せた。


「ねー最初から結って見せてよーう」
「ダリぃ」
「どーせ任務なくて暇でしょーやってよーねーえー」
「うるせぇな、うん!」


腕を掴んで揺さぶる久遠。デイダラは堪忍袋の緒を切らした。沸点が低い。
久遠はニヤリと笑ってデイダラに絡み付くように抱きついた。
目がイヤラシイ。そして果てしなくウザイ。
デイダラは大きく舌打ちした。


「っだーも、わかったよやりゃいんだろやりゃあ!」
「よっしゃイケメン!」
「ツッコミがわかんねぇよ」


デイダラは髷をといた。
結われなかったぶんだけの髪の毛が重力に伴って垂れる。
髪の毛の多さに久遠は吹いた。


「ぶはっ・・・!!デイダラちゃん落武者みたいだだだだだごめんなさいごめんなさい!」
「次なんか言ったら喝いれっぞ」


適当に髪の毛をかき集めて頭上でくくる。
その髪を両手で掴み、右へ流すように何回かとく。
立派な髷の完成、である。


「ふざけてる!」
「なにがだ!うん!」


噴水のままの髪の毛を揺らしながら、久遠は意味もなくデイダラに倒れこんだ。
突然のことに対応できなかったデイダラがやめろだの退けろだの騒ぐ。

今日も暁のアジトに、若いふたつの声が響く。

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