「・・・あれ?」


あたしは辺りを見渡して首を傾げた。
なんだどうしたなにが起きた?
あたしはさっきまで暁のリビングで飛段とまったり談笑していたハズ。なのになんでオンザベッドなんだ?

消毒の匂いが鼻を掠める。
これはあれだ。ドジなあたしがよくお世話になった保健室のそれと似ているってゆーか保健室のそれだ。


「目が覚めたか」
「え」


なんとなく聞き覚えのある声に、あたしは体を固めた。
ギチギチと音をたてながら、声がした方を振り向く。

色白八卦美男子が腕を組んで佇んでいた。


「・・・びゅ」
「・・・びゅ?」
「びゅーてぃふる!」


ガバッと起き上がって美男子もといネジの手を掴んだ。
ネジは突然のことに対応しきれず、目をまん丸にしてあたしを凝視したはぁぁあんびゅーてぃふる!


「ありがとう神様!」
「おい、なにを・・・!」
「あたしってば恵まれてる!」
「っ、放せ!」
「まず手始めに踏んでもらってもいい!?」


ゾゾゾゾォッ!

一気にネジが鳥肌をたてた。
ふ、そんな反応はもう慣れてるんでね。痛くもかゆくもないわけよ。


「ネジー?あの子目ぇ覚めたの?」
「テンテン・・・!助けろ・・・!」


部屋に入ってきたテンテンは、あたし達を見るなり回れ右をした。


「そーゆうことなら先に言ってよね!」
「っ誤解だ!助けろ!」
「誤解も何もあたし達本物のカップルじゃない!」
「お前も悪ノリするな!!!」


***


頭にダブルアイスをつくったあたしは、へこへことゴマすりをすりながら腕を組んで不機嫌なネジ様の機嫌をとろうと必死だ。
そんなあたしのたんこぶをつつきながら、テンテンが地味にいじめてくる。
くそう痛かったんだぞコレ。あれ木の葉丸みたいな口調になったてへぺろ。


「ネジ様ぁ機嫌直してよぉ」
「ウザい」
「・・・ネジの口からそんな言葉が出てくるなんて・・・ご愁傷様、久遠。諦めたほうがいいわ」
「そそそそんな嫌だよあたし別れるなんて!!」
「死ね」
「・・・本格的にネジいじりはやめたほうがいいですよ、久遠さん」


騒ぎを聞きつけてやってきたリーが、あたしの肩を叩いた。
ゲジ眉がハの字になっている。あんまり可愛くない。


「つーかお前どこのもんだ?」
「ワンッ」


ひょいっと窓から顔を出したキバに、あたしは少しビビりながら言った。


「てーかここ二階だよね」
「質問に答えろよ」
「シークレッツ☆」
「死ね」
「あうんネジがあたしをいじめるー!!」


さっきから死ねしか言ってないネジにとうとうあたしの涙腺はもっていかれた。
もふもふの赤丸に抱きつけば、べろんとほっぺを舐められた。・・・く、臭ゲフン!独特な匂いがした。


「キバの質問に答えるべきだ。なぜなら、得体の知れない者をいつまでも里においておくわけにはいかないからだ」
「そ、そんなこと言わないで・・・倒れてたって聞いたし・・・」


・・・シノに、ヒナタ。
愛くるしいですそのでっかいおっぱい揉み揉みしたいですヒナタさん!!

あたしがヒナタに向けるイヤラシイ視線に気づいたのか、ネジが殺気を放ってあたしの頬を強くつまんだ痛い、痛いですネジ兄さん容赦ないです。


「お前が久遠か?オレはナルトってんだ!!よろしくってばよ!!」


はいキタ主人公ー!!
ってばよが特徴的な意外性ナンバーワンうずまきナルトが来たってばよ!

あたしは続々現るNARUTOの主要人物に若干ついていかない頭をフル活動させて、差し出された手を握った。


「お前達、なんでこんな病室に続々現れるんだ・・・」


呆れたようにため息をつくネジに、ニヤリと意味深な笑みを浮かべたサクラとイノが(いつの間にきたんだ)言う。


「なにって、ネジさんの彼女さんでしょ?」
「隠したってムダなんですからぁ!」
「もうすぐシカマルやチョウジも来るはずですよ!今日はパーっと盛り上がっちゃいましょう!!」
「・・・はぁ?おい、ちょっと待、」
「わぁぁありがとうサクラにイノ!!!」
「黙れ久遠!!!」


バキィッ!!!

本日二度目の強烈なゲンコツがあたしの脳天にクリーンヒット。
ホームランですネジさんありがとうございます。おかげであたしは2ラウンドK.O!!
真面目に痛い。


「・・・収集がつかなくなってっけどよ、オレを呼んだのはまさか、またオレを財布代わりに使おうってんじゃねーだろうな」
「さっすがシカマルわかってるぅ♪」


ハイテンションなイノのハイタッチに、シカマルはがっかりとうなだれてチョウジは嬉しそうに焼肉焼肉呪文みたいに呟いた。
誤解が誤解を呼んで、ネジは修正が効かなくなったこの状況に盛大に顔をしかめている。


「じゃあ、パーっといきますかぁ!!?」
「だから何故お前は話をややこしくする!?」


ドゴンッ!!

そうしてまたあたしはネジの拳の餌食になったのだった。


***


「・・・ぃ、おいっ、久遠!!」
「・・・はへ?」
「いきなり寝やがって、どうしたんだよ久遠ちゃんよぉ?まぁかわいかったから許すけどな!」


・・・夢?

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