赤い頭が視界にインプットされたと同時に地面を蹴る。
一直線に走れば段々と近くなる距離に忍である彼は身の危険を察したのか、前を向いたままあたしに勝る速度で走り出した。

ちょおおおお!!?


「朝っぱらからあたしの愛あるスキンシップを見えてないみたいに振る舞うんですかサソリさんんんん!!でも好きだ!!」
「お前は朝っぱらからうるせぇんだよ。ハエか」
「ハエはヒドイ!!」
「ああ失礼だったなハエに」
「えええそっち!!?」


いくらなんでも酷いですよぉてか止まってくださいよおおお!!
お前の体力は底無しかと言ったサソリさんが急停止して、咄嗟に止まれないあたしはサソリさんに向かってダイブする。
ゴッツンと鈍い音が響いて、あたしは床とご対面してしまったあああ鼻が、鼻がああ・・・!

あまりの痛さに声も出せずにいると、頭上で呆れたようにため息をつかれた。
やっぱりなにしてもかっこいいですサソリさんは!
あたしの愛に溢れた行動を無下にするのはいただけないけど、やっぱりそんなとこも好きだ!


「痛いか?」
「はっ、サソリさんがあたしの心配を」
「してねぇ。ちょうど今薬品が仕上がったんだよ。その鼻に試してみようかと思ったんだが」
「あ、いや、あのだだだ大丈夫ですのではいもうビンビンですから!」


少しの筋肉もない腕を曲げて笑ってみせる。サソリさんは少し不満げな、つまらなそうな顔をした。
いやん可愛い天使。


「食べちゃいたいです」
「冗談に聞こえねぇからやめろ」


くんかくんか鼻を近づければ、痛めたばかりのそこを思い切りつねられた。
痛いどころの騒ぎじゃないけどサソリさん大好きだから許す!!!


「・・・まあ、」
「?」
「お前のそんなばか正直なとこ、嫌いじゃないぜ?」
「・・・ッサ、」


サソリさぁぁぁぁぁぁあん!!!
勢いよく抱きつけば、体温なんてあるはずないのになんだか温かい、そんな気がしたある日のこと。

変態と傀儡の日常
(愛してます!!!)

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