お風呂上がり。
部屋に入ろうとしていたイタチ兄さんを呼び止めて明日の予定を聞いたら、やっぱり任務が入っていた。くそうあの能面ヤローが。もっとイタチ兄さんを労れ。そしてあたしとイタチ兄さんの愛の時間を「おやすみ、久遠」


「あ、はいおやすみなさい・・・!!」


イタチ兄さんはあたしの頭を数回叩き、少しだけ笑って室内に消えた。
なんだかあたしの脳内の考えを遮られた気がするけど、まぁ気にしないでおこう。おやすみ久遠だなんてそんな夫婦まがいな会話してくれただけであたしは満足「・・・あぁ、久遠。もう夜も遅いですよ、早く寝なさい。・・・おやす、」


「その先は言うな鬼鮫ぇぇぇぇぇえ!!!」


怪訝そうに眉をひそめた鬼鮫を無理矢理部屋に押し込んで額の汗を拭う。浮気なんてしてないからね、イタチ兄さん!

一気に襲ってきた疲れにため息をついて、あたしは自分の部屋のドアを開け「やっほー」


「・・・・・・・・・・・・・」
「な、何無言で扉閉めようとしてんスかぁー!!?」
「いやぁ幻かなはっはっは、これはもう夢の中なんだねぅいだだだ!!?」
「どうです?夢じゃないでしょ?」
「イタチ兄さんへるぷみっもが!」
「しーっ」


そしてあたしは口をふさがれ、引きずられながら部屋に入れられたのだった。


***


「こんな夜中に・・・マジで寒い・・・」
「我慢しろ」


あたしを背中に背負いながら、マダラはたったかたったか走る。
夜中の風はとても冷たかった。


「長門さんはこんな夜中になんの用なのさ」
「オレは知らない。ただ会いたいと言っていたが」
「あっ・・・!?そんなにあたしのことを・・・!?」
「いやあいつはああ見えて天然だぞ。言葉など選ばない。そう深い意味はないと考えたほうがいいな」
「・・・・・・デスヨネー」


そんな雑談をしていると、あっという間に雨隠れについた。
塔も素直に入り口から入らず、屋根を跳び移りながら一番上の窓を目指す。すでに窓は開いていて、マダラとあたしが入った途端ピシャリと閉められた。


「・・・ちょ、あたしのパジャマ挟んでるから!」
「・・・あぁ、すまない」


窓を閉めた張本人である小南はくすりと笑ってパジャマを引き抜いた。ブチブチと音がしたけど気にしない。あたしは寛大な心で許そう。決して逆らったら怖いからとかじゃないもん。


ペインに顔を向ければ、彼はもたれていた壁から体を離してあたしのところに近寄ってきた。
そしていきなり抱きついてきた。


「・・・・・え、」
「・・・・・・」
「え、ペイ、・・・ぇぇぇぇぇえ!?」


それからあたしの腰を触りお尻を触り、ってなんでマダラと小南はそんな冷静なのさ!?
当然、みたいな顔でじっと傍観してってそこ触るなぁぁあ!!!


「・・・あった」
「ちょっとペイン!!いくらあたしの事が大好きだからって物には順序ってのが・・・え?あったって何が?」
「・・・本当に角都は久遠にお金をあげてたのね」
「ゼツの情報だ、間違いはないと言っただろう。疑り深いぞペイン」
「どうにも信じられなかったんだ、仕方ないだろう」
「あのあたしを置いてほいほい話を進めないで」


ちょっと悲しくなってきたよ?
あたしの目尻に浮かぶ涙を親指で拭い、ペインは手元のお金をあたしに返した。角都から貰ったやつだ。


「随分となつかれたものね、久遠」
「いや、久遠が餌付けされてるだけだろう」


とりあえずペインの腹に肘をくらわせといた。ペインって名前の割には痛がらないから不思議だ。


「ちゃんと品定めしてから購入しなさい。無駄にしたらダメ」
「はーい小南お母さん」
「最後の一言は余計」


へらりと笑ってみせると、小南も小さく笑って頭を撫でてくれた。
小南のその包み込むような優しさは、あたしに対して母性愛が働いてるのか。
とても安心するから好きだ。


「にしても」
「んあ?」
「よくイタチに止められなかったな、マダラ。あいつはなにかと久遠を気にかけているだろう?」
「え、気にかける?そこんとこ詳しく教えてくださ、」
「オレがこいつに危害を加えないことも承知済みなんだろう。あいつは聡い」


今日はよく言葉を遮られる日だなあ。
めそめそと小南の胸に飛び込みながら、あたしは目を閉じた。
もう夜も遅い。いつもなら夢の中でイタチ兄さんとかとイチャコラしてる時間帯なのに・・・


「眠いのか?今夜は泊まっていけ」
「・・・んー・・・」


ペインの言葉に生返事を返す。

口を開かなければもう少し可愛いげのあるものを、と呟いたのは誰だか分からないけど、きっとマダラだから朝起きたら一番に叩こう。

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -