暇だ。
粘土をこねるのも飽きてきたオイラは、大抵リビングにいるあいつの存在を思い出した。
・・・いや、冗談じゃねーだろ。
リビングに行ったらたちまちあいつの餌食だろ分かってんのかオイラ。
思いながらも勝手に足はあいつがいるであろうリビングに早足で向かっていた。
負けた気がするけど、暇をもて余すよりゃマシだ。そう、マシってだけだ!
自分に言い聞かせながら、静かにリビングのドアを開ける。
・・・先着がいた。
「あっ!デイダラちゃんも来たー!うわお芸術コンビが揃ったねぇ!さっきも不死身コンビをお見送りしたとこだったんだよー」
これなんの巡り合わせ?と平和ボケした笑顔で平和ボケ満載の言葉を飛ばしつつ腰にまとわりついてきた久遠。
の、向こう側にいるのは、サソリの旦那だった。
考えることが一緒なんて、マジで勘弁してくれよ、うん・・・。
「ってゆーか、離れろ久遠!うん!」
「やだぷー」
「ぷーじゃねぇぷーじゃ、」
「久遠、デイダラが嫌がってるだろ。こっち来い」
「はいもう是非喜んで!」
旦那に呼ばれた(命令された?)久遠は、目を輝かせながら旦那のもとにダイブする。
戸惑うことなくオイラの腰から離れてった久遠に、少し・・・なんだこれ?寂しい?
いやいやんなバカな、オイラ寂しいとか微塵も思ってねぇぞ!
なんでか知らないがにやついている旦那を一睨みして、向のソファーではなく久遠を挟むようにして座る。
旦那にじゃれていた久遠は、オイラに気がつくと嬉しそうに笑った。
「いやー芸術コンビをこんな独り占めしていいものなのかなっ」
口ではそう言いながらも、実際にやけまくりなこいつに説得力はなかった。
久遠はオイラと旦那のそれぞれの腕を取り、楽園だあーと嬉しそうに笑う。
屈託のない笑みを向けられ、最初こそ変態だ気持ち悪い(今も変態だが)と拒否反応を示したオイラだけど、今はさほど嫌でもない。
むしろこいつに甘えられるとなぜか安心しちまう自分がいるのだ。
平和だな、と柄にもなく思った。