今日も楽しい楽しい一日が始まる。
こっちの世界にトリップしてから、あたしの毎日は薔薇色に輝いてる。つまりウハウハだ。
なにってかにってあたしは今、暁のアジトに居候してるのである!
さて、今日もみんな(主にイタチ兄さんやサソリさんやデイダラ)を襲うために食料を蓄えとかなくては。
そんなことを考えてたら眠気なんてすぐに吹っ飛ぶ。
あたしは口笛を吹きながら、誰もいないであろうリビングに向かった。
勢い良くリビングのドアを開ける。
と、同時にゴンッと鈍い音がして痛ぇっ、と誰かの声がしたやばいあたしやってしまったよね、サソリさんとかだったら殺される・・・!
相手を確認せずに回れ右をして駆け出そうとすると、がっつり手首を掴まれてしまったやべぇ死ぬ!
「待ってくださいあたしちょっ、あのあたしわざとじゃなくて決してあのあのっ、」
「オイオイどもりすぎじゃねぇのぉ?久遠ちゃんよぉ」
「・・・あ、飛段かよかったぁぁ・・・」
脱力してそのまま飛段の腰に抱きつけば、可愛いなぁオイと言って頭を撫でてくれた。うん、飛段好き。
「フン、仮にも忍が情けないな」
声がした方に視線をやれば、札束を数える角都の姿。
今日も大変そうだねおじいちゃん。
「・・・オレをおじいちゃんなどと呼ぶなと何回言ったら、」
「えぇえ心読んだ!?歳いくと読心術でも身に付くの!?」
「全部声に出てたぜ?」
「うそ」
「・・・どこまでも失礼な女だ」
ため息をつきながらお金をケースにもどす角都の隣に、飛段とともに移動する。
じっと見てると、これはやらんからなと念を押された。分かってますよ取ったら逆に命をとられますからね。
「二人ともなんでここにいるの?」
「おー、これからダリー任務があんだよ。でもこいつが金を数えてから行くって聞かなくてよぉ」
飛段はしかめっ面をしながら隣にいる角都を指差した。
「黙れ。暁の財布役を任されるオレの身にもなってみろ」
「だからっていっつも出掛ける前になってから数え始めんなよクソダリー。待ってるこっちの身にもなれよなぁ?」
「そこであたしに同意を求めないでください」
大の大人がこんな小さなことで喧嘩するなんて、このコンビくらいなんじゃないだろうか。
「もうちょっとじゃん。そんなイライラせずに待ってあげなよ」
「おー」
「ちゃんとしろちゃんとぉっ!仮にも暁に所属してんだから、泥を塗るようなこてしたらあたしが許さないよ?」
「お前はそいつの親か何かか」
「バカ言え角都。久遠はオレの可愛いいもーとだぜぇ?」
「ねぇ妹って漢字分かってないよね飛段お兄ちゃん」
お金を数え終えた角都が、ケースを閉じて立ち上がった。
同時に、ダルそうに飛段も大鎌を手に取って膝の上にいたあたしを優しく降ろしてくれる。
飛段のこういう何気ない優しさは、本当にお兄ちゃんみたいだなって最近思う。
「ほら」
「へ、?」
角都に手渡されたお金に、あたしは驚いて間抜けな声を出してしまった。
隣で飛段が珍しいなオイとにやにやして角都を見ている。
「・・・それで何か買え」
「いいの?」
「ああ」
嬉しくて嬉しくて仕方なくて角都に抱きつけば、諦めたようにため息をついて頭を数回叩かれた。
おじいちゃん大好き!
「・・・行ってくる」
「おとなしく待っとけよぉ?」
「うん!いってらっしゃい!」
おじいちゃんみたいな角都からもらったお金を懐にしまいながら、二人を見送る。
暁でのあたしの一日は、まだ始まったばかり。