「ネコってさあ・・・」
「ん?」
「猫じゃらしとかマタタビ好きだよね」


そう言って祐希が取り出した猫じゃらしに、オレの膝の上でウトウトしていた久遠の肩がわずかに揺れたのが分かった。
顔を覗き込むとさっきまで寝る寸前だったのに目は見開いてる。
・・・まさかとは思うけど、ね。


「よいしょ、っと」


あぐらをかいて座った祐希の手にある猫じゃらしに、久遠の視線は釘付けだ。


「ちょっと久遠」
『な、なに?』
「まさか、猫じゃらしで遊びたいとか言わないよね」
『い、言うわけないじゃっ・・・えい!』


ふいに祐希が動かした猫じゃらしに、久遠は手をグーにして反応した。
思いっきり蹴られた膝が痛い。


『・・・っあ、いい今のはそーゆうんじゃなくてえっと、違うの!』
「なにがどう違う、の!」
『わっ、もう、待て!』


せわしなく動く祐希の手元の猫じゃらし。久遠は言い訳することも忘れてそれに夢中になってる。
ペットができたみたいで、なんだか可笑しい。


『ちょっ、ゆき!遊ばないでっ』
「オレはただ猫じゃらしを動かしてるだけです」
「反応してるのは久遠だよね」
「やー、面白いわコレ。悠太もやってみる?」
「是非」
『ゆたぁーーーー!!!!』


涙目になってきたところで祐希は猫じゃらしをしまって両手を軽く広げた。
すかさず久遠はタックルをかましながら祐希の腕の中に飛び込む。
バカ、と呟いた久遠にごめんと無表情に言いながら、祐希は彼女の背中を不器用に撫でた。

再びウトウトしだす久遠を見ながら、祐希は一言。


「マタタビは効かない、ね」
「・・・祐希・・・」


ネコっぽい久遠と、とある日曜日の出来事。

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