「・・・雪比奈・・・?」


委員会が終わって教室に帰ってきたら、いつも以上にぼーっとした雪比奈が窓の外を眺めていた。

他には誰もいない。
雪比奈の机の上には、大量のチョコが置いてある。
・・・さすが、としか言いようがない。
ひとつ、チョコの箱が床に転がった。
雪比奈はそれに一瞥くれただけで拾おうとしない。
相変わらず心まで凍てついたやつだ。

まぁそんな私も、雪比奈に惚れてしまったひとりではあるが。
冷たい雪比奈の態度を見てもかっこいいと思ってしまうのだから、かなりの末期なわけだ。


「・・・いつまでそこにいる?」
「、気づいてたんだ」


外を眺めていた視線をはずし、雪比奈はこっちを向いた。
ばちん、と目が合う。すぐに逸らした。


「・・・に、荷物」
「取りに来たのか?」
「うん、あれ?」
「これだろう」
「あ、うん」


こっちに来い、と手招きしる雪比奈のもとに駆け寄る。
ありがとうと言って受け取ろうとするけど、一向に離してくれない。・・・なんでだ。
このままだと私の心臓が持たない。教室にはふたりっきりなのに。


「ゆ、雪比奈・・・?」
「・・・」
「え、ちょ、」


ぐい、と引き寄せられ、そのまま私は雪比奈の腕の中にすっぽりおさまってしまった。

な、な、な、なんだこの状況!?


「好きだ」
「、へ?」
「結構期待していたんだが・・・?」


チョコ、と耳元で囁かれる。
きっと今の私は真っ赤なんだろう。


「あっ、えっ、い、今からでも作ったらある、よ・・・」
「そうか」


そう言って、雪比奈は小さく笑った。


きっと確信犯
(帰ろ)
(えっ!?一緒に!?)
(当たり前だ)
(もらったチョコは?)
(久遠以外のはいらない)

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