久遠に会ったあの日から、いつも通りに動いていた歯車が逆回転を始めた。

私とカンクロウは、確かにそれを感じていた。

任務もいつもより早くこなし、岩壁に行くこともなく自室に戻る。
そんな我愛羅を見て、私たちも少しずつ変わり始めた。

中忍試験もそつなくこなし、また帰国するのだろう。
そう思っていたが、事は深刻な事態になっていた。

いつも沈着冷静な我愛羅が、久遠に会えない日々を過ごし不安定になっていった。

それほどまでに、久遠という存在は我愛羅の中で大きくなっていた。


やがて我愛羅は、風影になった。
姉としての誇りだ。
我愛羅のことを疎ましく思っていた過去の自分は、もういない。

我愛羅の秘書となり、せわしなく建物を走り回る久遠を見て、温かな気持ちになった。


こんなところで、終わらせるものか。

「安心しな、久遠」
「え、」

背中にいる久遠にしか聞こえないように、言った。

「我愛羅は死んでない。死んでても生き返るさ、お前の口付けでな」
「なっ、テマ・・・!」

くつくつと喉の奥で笑うと、久遠も少しだけ笑った。


我愛羅には、久遠という光がいる。
お前を必要としている里のみんながいる。

お前の夜は、もう明けたんだ。


夜は既に完結している
(草原で抱き合う少年少女に、笑みがこぼれた)

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