※虹色ハイスクール
どんなチョコ料理がいいかな。
ラッピングは何色がいいかな。
いつどのタイミングで渡したらいいかな。
なんて乙女チックな思考回路は、生憎持ち合わせてない。
「だからって板チョコはないダロ!?」
「うるさいな」
通学路の途中にあるコンビニで学生に優しい98円の板チョコを買って刻に渡せば、予想通りの反応だった笑える。
「いや笑えねぇヨ!オレ久遠の彼氏だよな!?」
「え・・・・・・・・・うんまぁ」
「え、ナニその間!?」
「え?・・・・・・・べつに?」
「うわぁなんか自信なくなってきた」
うなだれる刻の頭をとりあえず撫でておく。
かわいそうに、泣きそうだよこの子。
「誰のせいだヨ、ホント」
「いやぁ、安価だったからさもうこれでいいやーって、ねっ?」
「その程度の愛なんだ・・・」
「98円で買えます」
「安っ!!」
ぐでー、と寄りかかってくる刻。
うん、普通に重いよねどいてほしいなーなんて。
「手作りチョコとか期待してたの二・・・」
「バカ言え、私に包丁なんか持たしたらキッチンが破滅するぞ」
「自慢気に言うナ、そんなこと!」
「事実だもん、私料理苦手」
「ちぇ」
拗ねながら、刻は板チョコを噛み砕いて食べ始めた。
「・・・食べるんだ?」
「そりゃあネ。ほんとはチョコとかもらえないと思ってたし」
「おいそれは私に失礼だ!」
「いでっ」
いくら私でも、バレンタインデーくらい知ってる。
これでも刻の彼女だ。
一応やっぱり作ったほうがいいかなとか迷ったりしたんだ、でもやっぱりキッチン壊したくないし。
「来年も期待しとく」
「・・・嫌味か」
知ってるよ刻。
たくさんもらったおいしそうなチョコより、私があげた板チョコを一番に食べてくれたこと。
だから私も、
期待は来年に持ち越して
(来年はがんばってみようかな)