「チョコ欲しいなー、なんて思ってみたりするんだけど」
「だから?」


甘い匂いが広がるリビング。
幼馴染みである久遠の家に勝手に上がり込むのはもう慣れたこと。
隣で赤丸が大きなあくびをもらした。

久遠の手元はせわしなく動いている。


「久遠くれねーのかよ」
「だっれがアンタなんかに」
「オレ噛み応えのあるやつならなんでも好きだぜ!」
「ふーんあっそ。ヒナタにでも頼めばいーじゃん」
「あいつはナルトだろーがよ」
「チョコ欲しさにあたしのとここないでようっとうしいな」
「うーわ酷ぇな、オレのお返しは贅沢だぜ?」
「なにそれ、なにがもらえるの?」
「ただいまチョコをくれた女の子には、もれなくオレがついてくる!」
「黙っといてよ手元が狂う。吐き気催すからやめて」
「おいおいそれはねーだろ!?泣くぞ!?」
「泣き叫べ」


久遠がなにかをオーブンに入れて散らかった材料を洗い始めた。
やっべ、超いい匂いする。


「なぁー、あと何分?」
「誰がアンタにやると言った。・・・あと20分はかかる」
「まじかよそんなにかよ待つのめんどくせー」
「シカマルじゃあるまいし、そんなこと言わないでよあたしがめんどくさいから」
「眠たくなってきたー・・・」
「寝れば?せいぜい風邪引かないようにね。・・・そこに毛布あるから」
「いや起きてる。ガトーショコラ食べてぇし」
「・・・洗い物手伝ったらあげないこともないけど」
「マジかやるやる!」
「あーやっぱいいや割りそうだし」
「んな不器用じゃねぇよお前よりかは」


後ろから抱き着けば、久遠は顔を真っ赤にして皿を落とした。
うお、危ねぇなコイツ。


「いっ、いきなり抱きつかないでよバカ!!」
「チョコ、くれるよな?」
「あげ、あげるから!耳元で喋らないで!」
「くくっ・・・!久遠マジかわいー」
「うるさい!」


オーブンが出来上がりの音を鳴らした。


おねだり
(噛み応えないけど)
(なんでもいーよ、お前のなら)

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