"我愛羅・・・っ!"
この世でなによりも愛しいと思うお前の声が聞こえて、辺りは真っ暗になった。
ああ、もうすぐ消えてしまう。
それだけは分かった。
俺という存在が消え、・・・いや。
そもそも俺とは何だ?
誰かに必要とされたがっていた俺は、どうして、何で、そうなりたかったのだろう?
俺はなんで、それを望む存在なのだろう?
何故・・・何故あれが我愛羅・・・
俺はその中にいた・・・
俺と自覚しているだけで。そもそも・・・何者・・・なんだ?
"我愛羅"
"血のにおいがする"
"すてき"
"我愛羅には来るよ、桜が咲く"
"ぜったいよ"
"わかってるくせに"
我愛羅、我愛羅。
・・・ああ。
"我愛羅"は存在した。
確かにここにあった。
あいつの傍に。久遠の、傍に。
ただ想う。
俺の名を呼ぶお前を、俺を必要とするお前を、泣くお前を、笑うお前を。
これを、"愛"と呼ぶのだろう。
愛してる、なんて言葉なんかじゃ足りないくらいに久遠が必要だった。
俺にとっての、もうひとつの生きる意味。
我愛羅・・・!
泣くな、久遠・・・
・・・ずっといる、・・・傍に、いる・・・
ほら・・・、
もうすぐ君が消える
(ただの小さな感覚)