ぽたり。

しんと静まり返った暗い町中で、荒い息づかいがふたつ。

ひとりの少女は腕をおさえ、
ひとりの少年は呆然と立ち尽くしていた。

クナイを持った手が震える。
少女の腕から、とめどなく溢れ出す赤は、少年の息を荒くした。

目尻に雫がたまる。


「我愛羅、」
「よるな!」


怯えを映した緑の瞳。
少年は、愛を知らない。


「・・・だい、じょうぶ」
「っ、よるな、また、傷つける・・・!」
「我愛、羅は、やさしい・・・」


ね?と少女は笑った。
血を流したその顔は、月明かりに照らされて青白い。


「・・・っ久遠・・・!」
「うん、」
「オレ、は・・・!」


愛し方がわからない。

そう言って、少年は涙を流した。


「・・・うん」


心配しなくていいよ。
わからなくて涙するあなたに、愛されてるって実感するの。


「っすまない・・・!」
「いいよ」
「また、傷つけた・・・」
「我愛羅、」
「、ん」


愛してるよ。



愛に泣く人よ
(どうしようもなく)

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