ドタドタドタ...

この部屋に近づいてくる、ふたつの足音。
ああ、まただ。
足音の正体を知る前に、頭が痛くなってきた。
現実逃避するようにヘッドフォンを耳に押し当てる。
100%意味はない。


「久遠!いるか、うん!旦那の頭がとうとうイカれちまった!」
「デイダラてめぇ!おい久遠!出てこい!」
「・・・・留守です」
「「入るぞ!」」


おいコラ入っていいのかとかくらい聞けよ!
忍は忍でも、わたしは立派な女の子だぞ!
お着替え真っ最中だったらどうしてくれるんだよ!


「あ?そんなんますます入るに決まってんだろ?」
「そうだぜ、久遠、ついにお前までイカれちまったのか?うん」
「イカれてんのはお前らだこの変態コンビがぁぁあ!」
「こいつと一緒にすんじゃねぇ」
「こっちこそ願い下げだ、うん!」


・・・あぁ、やば。
本気で頭痛くなってきたよ。

当の本人たちは、そんなわたしをよそに未だ言い合っている。
ちょっと、喧嘩ならこの部屋でやらなくていいよね。出てけやコラ。


「あ、そうだ!久遠に聞きたいことあって来たんだよ、うん」
「久遠、お前はオレのもんだ、そうだろ?」
「は?、」
「なにほざいてんだじじい!うん!」
「ちょ、」
「あぁ!?んだとコラバカダラが、殺されてぇか?」
「なんだよバカダラって!オイラはデイダラだ、うん!」
「ふたりとも、」
「その脳ミソはどうやら空っぽみてぇだな、久遠はオレんだ。何回言ったら分かるんだバカダラが」
「旦那こそなに言ってやがる!オイラだって何回も言ってんだろーが、うん!久遠を幸せにしてやれんのはオイラだ!」
「だーまれえぇぇえ!」


勝手に話を進めるふたりの頭に拳を降り下ろす。
ぐぇ、とカエルがつぶれたような声を出すデイダラと、苦虫を噛み潰したような顔をするサソリ。
まったく、いい迷惑だ。


「あのな、何っ回も言ってるけど、わたしはサソリとデイダラどちらのもんでもねぇ!」
「じゃあ今から」
「じゃあ今からオレのもんにしてやるよ」
「オイラの言葉を遮んな!うん!」


・・・ダメだ。
マジで頭痛ぇ・・・。


「オレだったら、お前を飽きることなく永遠に愛し続けてやるぜ?」
「オイラだったら日々の一瞬一瞬を大切に過ごしながら久遠を愛す、うん!」


さぁ、どっちか選べ!


永遠ではなく、一瞬でもなく
(どっちも嫌だ!)

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