わたしが生きている意味って、なんなんだろう?
我愛羅が中忍試験に出向いてから、そればかりを考える。
もし、わたしが今宙吊りになって。
楽園と思う死に直面したら。
わたしはその楽園で、我愛羅を見るのだろうか。
春を待つ、我愛羅を。
ああ、いやだ。
わたしが一緒に春を待っていたい。
我愛羅の傍にいたい。
我愛羅といたい。
わたしは、
生きたいんだ。
「久遠、」
懐かしく感じる、彼の低い声。
思わずカッターナイフを放り投げて、傷だらけの我愛羅に駆け寄った。
「我愛羅、我愛羅・・・!」
「・・・っ」
変わった、変わってしまった。
我愛羅の目は、もう完全に以前のものじゃない。
それでも、わたしは。
「我愛羅・・・!」
我愛羅がいないと、生きていけない。
「久遠・・・っ」
あの日よりも強く、優しく、我愛羅に抱き締められる。
いつの間にか、我愛羅はわたしの生きる意味になっていた。
だってこんなにも、愛しい。
宙吊りの楽園
(もう、そんなものいらない)