忍者には、よくわからない複雑な仕組みがあるらしい。

その仕組みのせいで、しばらく我愛羅の目を見れないなんて、それだけで肩を落とすわたしは滑稽だ。

「血を浴びれるの?」
「ああ」
「いっぱい感じれるんだ」
「・・・そうだな」

恐い。
我愛羅が、どこか手の届かないところに行ってしまいそうで、恐い。

無意識に震えていた手を強く握る。

わたしには、止める権利なんてない。


「・・・いつ帰ってく、」


言い終わる前に、体を引き寄せられた。
赤い髪の毛が頬に当たる。

・・・いやだ。
わたしを置いていかないで。

「必ず戻る」
「ぜったいよ」

わたしを置いて変わらないで・・・

「我愛羅、」

冷たい手が、頬をなでた。

ああ、おかしい。
我愛羅は、わたしを壊すのが得意みたいだ。

感情を、コントロールできない。

止まりかたを知らないかのように、涙が溢れて止まらない。


「・・・泣くな」
「・・・っ、う、ん・・・!」
「戻ってくる、必ず」
「・・・っうん、」


わたしが、待つ場所になる。


目を閉じてここまでおいで
(中忍試験、なんてなくなればいい)


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