「サソリさん、家族ごっこしましょ!」
「は?」


いきなり腕を掴まれたかと思えば、やけにキラキラした瞳で久遠はそう言った。

家族ごっこだぁ?


「幼少期のだいごみですよ!ここでやらなきゃ損だってことに気づきましたほめてくださいっ」
「いや知らねぇよ」
「ってことで、あたしとサソリさんが夫婦設定です」
「やるとか一言も言ってねぇけど」
「あなた、ごはんとおふろどっちにする?それともあ・た・し?」
「聞けよ」


くねくねと体をくねらす久遠を蹴り倒す。
きゃあとわざとらしく悲鳴を上げた久遠は、何故か長門の名を呼んだ。


「どうした久遠」
「おとうさんっ サソリが、サソリが・・・でぃーぶいなの!」
「うちの娘にこれ以上暴行をくわえるようなら「ノるなよ」


久遠を抱え込むようにして抱き締める長門。頭が痛ぇ。


「サソリ・・・だめなの?あたしたちもう昔みたいにはもどれないの?」
「大丈夫だ久遠。いざとなったらオレと一緒にくらそう」
「いやお前お父さんじゃねぇの」


ドヤ顔ムカつくんだが。
ドヤ顔めちゃくちゃムカつくんだが。

久遠は目尻に涙を浮かべて(近くには目薬が落ちてた)長門の胸に飛び込んだ。


「長門っ・・・あいしてる!」
「・・・っ!」
「いやマジで照れてんじゃねぇよ」


赤面する長門は、悪ノリしすぎた・・・と口元を押さえていた。
つーかオレの立場はなんなんだよ。浮気されたのかオレが悪りーのか意味わかんねーよ。


「とまぁ、こんな感じで」
「絶対ぇいやだ」

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