そういえば、と思い出すのは前世での出来事。
確かに触れたオレの唇と久遠のそれ。
あの時は冷たかったけど、今触れたらちゃんと暖かいのだろう。
いつも弧を描いている桃色を盗み見ると、視線に気づいた久遠が首を傾げた。
「なに?」
「、いや」
あれは、初めてだったのだろうか。
初めてだったのだろう。こいつに男がいたはずがない。
「・・・なに?さっきから人のこと穴があくくらいに見つめちゃってさ。まぁオビトだから興奮しないけど」
「死ね」
「生きる!」
あっかんべーと舌を出す久遠。今度は触れるだけで済まさず舌を入れてやろうかと思ったがやめた。
さすがに暁メンバーがいる手前、そんなことをしたら殺されるだろう。
特に、サソリやイタチあたり。
厄介だ。
「なにそんなむずかしい顔してんの?」
覗き込んでくる久遠の瞳を真っ向から受け、思わず目を逸らす。
久遠は、あれを、どう思っているのだろうか。
「・・・久遠」
「うん?」
「・・・きす、」
「へ?鱚?」
「接吻のほうな」
「あぁキス」
「したことあるか」
「え?」
「だから、キス」
「えーと・・・」
なんで?と首を傾げる久遠。
ほんのり赤い頬にあの時のような生気のない青白さは感じられず、今さらだかとても安心する。
「ないけどサソリさんやイタチやデイダラとなら一日中でもちゅっちゅちゅっちゅやりた「だまれ腐れ痴女が」
キスマークだらけになった三人を思い浮かべて少し不憫になった。