転生から一年と数ヶ月が経った今でも、オイラは未だに慣れない奴がいる。
そいつは前世ではオイラとコンビ組んでてオイラの後輩的存在で、オイラのこと先輩なんてつけて呼んでたのに実は物語のラスボス的な存在だった、らしい。
いやそんなんいきなり聞かされても、対応できるかよってのが本音で。
器用にもそいつはそいつとして見て順応していく旦那や飛段や角都、仮だが正体を知ってたらしい長門や小南や鬼鮫やイタチやゼツとは違って、オイラは・・・


「お前はこむずかしい奴だな」
「ううう、うっせーよ、うん」


"オビト"である"トビ"に、どう対応すればいいのか分からないでいた。
仮面の取れたトビとして見りゃいーじゃねぇかとなんとも単純な答えを出してくれた飛段には悪ぃが、オイラはそこまでバカになれねぇ。

今だってホラ、面と向かって話せねぇでいる。
いや、トビとオイラの間にいる久遠がいなきゃ、きっと逃げ出してるだろうな。うん。


「いいじゃん今までどおりで。そんなこまってるデイダラもかわいいけどっ」
「お前は少しつつしみを覚えろ」
「やだ」
「・・・オレに逆らうとはいいどきょうだな」
「いたっ、いたたたたつねるな!」


いやだってこれがあのトビだなんて、誰も想像できねぇだろ!?
物語を知ってた久遠は平気かもしんねぇけど、オイラはそうはいかねぇ。

サソリの旦那は旦那でトビだとかマダラだとかオビトだとかどうでもいいのか、オイラみたいに困惑してねぇし、あーもうなんなんだよなんでオイラがトビごときにこんな悩まされなきゃなんねぇんだよ!うん!


「オレはトビじゃない。オビトだ」
「だからよけい対応がわかんなくなるんだよ、うん!」
「・・・しかたないだろう。オレが正体を明かす前に、お前は死んだのだから」
「うっせーな!アレはオイラの芸術だ!」
「ちなみにお前が死んだあと、あのばくはつはそんなにゆうめいにならなかったぞ」
「それ誰かにも聞いたな・・・うん」


てかさ、と久遠が口を開く。
口喧嘩真っ最中だったオイラとオビトは顔をしかめながら久遠を見た。


「今、ふつうに話せてるじゃんデイダラ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」


お互い顔を見合わせる。

オイラの知ってるトビはもういないけど、ほんの少しだけ認められるようになった、気がした。


「・・・ふ、早くなれることだな」


ひとつだけわかったことがある。
前世でも今世でも、こいつはウゼェ奴だってことだ。

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