朝は七時までに起きる。
朝食は栄養のバランスが取れた赤・黄・緑。ちなみに残したらそのあとのお遊びはなし。どうしても無理ならちゃんと先生に言うこと。
基本的に自由時間が多い。お遊戯室はみんなで使う。人のものをとらない。貸してほしいときはちゃんと交渉する。
昼食もちゃんと食べて、二時からはお昼寝タイム。四時まで、ひとつの部屋にお布団をしいて、クラシックを流しながら寝る。
起きたら自分のテーブルに人数分のお箸を並べて、おわんやおちゃわんを並べて、先生にご飯やお味噌を配ってもらって夕食。
また自由時間。ただし、九時までにお風呂とはみがきをすませること。
就寝は十時。他の子に迷惑にならないよう、うるさくしないこと。

これが、オレ達の転生後の規則正しい孤児院の一日。
もちろん、それに従わない子どももいるわけだが。それは大抵、やんちゃ盛りな四、五歳の子どもばかりだ。

・・・今はオレも、五歳だけど。

今は自由の時間。ちなみに時計の針は、夜の八時を指している。
子どもに囲まれる先生が、困ったように笑った。・・・少し、自来也先生に似ている。

精神が大人なオレにとって、この施設にある遊具はどれも興味がない。
それは小南や他のメンバーも同じようだ。
さっきから暇そうに喋っている。あ、小南は寝てる。
前に一度、まだ久遠がこっちに来てないとき、なんとなく積み木を渡してみたら塵に等しいと言って投げ捨てられてしまった、っけ。

オレがあっちで築きあげようとしていた"平和"。
それが、こんな形で成されようと、誰も思わないだろう。


「長門?」
「・・・ん?ああ、久遠か」


会話の中心にいた久遠が、いつの間にかオレの目の前まで移動していた。
前世ではあまり垣間見えなかったが、今は毎日顔を拝むことができる。
アジトから雨隠れまでの距離はもう、存在しないのだ。


「なにかんがえこんんでたの?そんなこまったった顔もすてきだけど」
「こまってるふうに見えたか?」
「んー・・・うん、なんとなく」
「・・・ならそれは、今がしあわせすぎてとまどっているのかもしれないな」


少し、笑える理由だけどな。
そう言って微笑めば、久遠は驚いたようにして目を見開いた。
それから、幸せそうに頷く。

心から笑う久遠に、なにか惹きつけられるような感覚に陥るのは、オレだけじゃないだろう。


「でも、」
「わかってる。このせかいもむこうよりは平和ってだけで、かんぺきな平和ではないんだろう?」
「うん。それでも長門は、また平和をきずきたいとおもう?」
「・・・いや、」


平和なのに越したことはない。
それで誰もが痛みを感じないのなら、そっちのほうがいいに決まっている。
さらに言うと、この孤児院こそ痛みを抱えた子ども達の集団だ。そんなことは分かりきってる、けども。


「オレは、今がしあわせだから。それだけでいい」
「へへ、そっか」
「ああ」


だから、久遠。


「むこうでは、あまり会えなかったからな」
「そうだねぇ」


わかってるよ、そう言って笑った久遠の頭を撫でる。
そうか、いつも頭を撫でているイタチはこんな気持ちだったのか・・・。


これからたくさん、知っていけたらいい。
久遠のことも、他の暁メンバーのことも。

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