サソリさんにくっついているあたしを見て、飛段が一言。
「久遠ってデイダラとサソリとイタチがだいすきだよなぁ」
「いまさら?」
顎に手を当てて呟く飛段に、何事かと身構えていたあたしは拍子抜けしてしまった。
今さら。本当に今さら!
強くサソリさんに抱きつけば、サソリさんが呆れた顔でため息をついた。
「しかもアレだな。年がかわんねーからなんていうか、へんなかんじするぜぇ」
「こどもがじゃれてるふうに見える?」
「いっぽーてきに、だがな」
舌足らずなサソリさん萌え!
心中で悶えたはずなのに、何故か露骨に嫌がられた。何故だ!
それでもめげずにくっついていると、反対側に引っ張られる。
何度か経験したこの感じ、あたしは抵抗することなく飛段の腕に収まった。
体格はそこまで変わらないから、すっぽり、とまではいかないけど。
「ムカつく!オレにもかまえ!」
「うわっ、みみもとで大きな声ださないでよ!」
キィンと響く声に、少しだけ頭がクラクラした。
飛段はあたしの腰に回した腕に力をこめる。
う、うお、内臓!内臓出る!
「くーるーしーいー!!」
「ゲハッ!やっぱ人がくるしんでるの見るのは、いつでもいいきぶんだぜぇ!」
「・・・そりゃおめー、ダメだろ」
サソリさんの冷静な突っ込みが入った。
さっきから面白くなさそうにこっちを見ている。
っは!まさか妬きもち!!?
大丈夫ですサソリさん、あたしはいつでもあなたのものっ!!
「あー・・・、なにおもってっかしらねぇけど、たぶんいやぜってーちがう」
「だいじょーぶです!あたしはサソリさんのもの!」
「おまえ、人のはなし聞いてたか?」
「ゲハハハハ!」
何がおかしいんだこの子は。
なんかこっちに来て、ますます笑い上戸になった気がしないでもないよね。
飛段はくるりとあたしの正面に座って、コツンと額を軽くぶつけてきた。
「んーなんか、」
「ん?」
「しあわせってかんじだなぁ!ゲハッ」
わるくねぇなと笑った飛段。
あたしもなんだか嬉しくて、うん!と返事をしながら笑った。
「おまえら兄妹みてぇ」
(兄ポジションなら飛段は敵じゃねぇな)
サソリさんの胸のうちを知らないあたしと飛段は、その言葉に顔を見合わせてまた笑った。