「こどものからだって、ふしぎですよねサソリさん」
「なんだいきなり」
午後。
この孤児院では、お昼寝タイムというものがある。らしい。
左隣で寝てるデイダラが可愛すぎて襲いたいです切実に。
今、起きてるのはあたしとサソリさんだけ。
いやぁ子供の体って不思議。
前世の記憶を引きずったままで精神年齢は大きくても、体はやっぱり子供だから、お昼は眠くなる。
実はあたしも瞼が重かったりする。
がんばって起きてるのは、みんなが寝た隙に手当たり次第に襲いたいからである!(ドヤァ)
だから、早くサソリさんにも寝てほしいんだけど・・・
「みんなねてるのに、サソリさんはねないんですかねましょうおねがいします」
「ねむくねー」
あ た し の 計 画 が !!!
くそぅこんな時でもサソリさんは愛くるしいから憎めねぇ・・・!!
サソリさんが眠れないのは前世で眠りが必要なかったから、なのか。
さっきから頭の後ろで腕を組んで天井を見上げたまま、眠りにつく気配がない。
「ひま。久遠なんかしろよ」
「むちゃぶり!?」
「ひまなんだよ。ねれねーし。だれだよおひるねタイムとかつくったクソやろうは」
「そしてしつれい!!」
「サソリくん久遠ちゃん静かにしなさい。ていうか寝なさい」
騒ぎすぎた。
先生からお叱りを受けたあたしは、素直に寝る準備にかかる。
ていうか元から眠かったし?別に怒られたからって寝るわけじゃないし?
夜這い(昼這い?)はまた今度にしよう。
「おい久遠」
「はい?」
「ねるなよ、ひまだろーが」
えええ。
まさかの今夜は寝かさないぜパティーンですか大歓迎です!!!
眠気を無理矢理吹っ飛ばして寝返りをうって、サソリさんのほうを向く。
サソリさんもいつの間にか視線を天井からあたしに移していた。
またお叱りを受けるのは嫌だから、今度は小声だ。
「なにします?なにします?」
「さっきこのオレをしかりやがったヤツをぶっとばしてこい」
「いやいやいやいや」
サソリさんはさっき叱られたことが気に食わなかったらしく、殺気を醸し出していた。
でも見た目が子供だからかあんまり怖くない。ぷぷ。かわうい!!
ちなみに先生はグズりだした子供をあやしている。
あたしはいい先生だと思いますよサソリさん。
「それよりもっとおもしろいことしましょうよっ」
「あ?なんだよなにがあんだよ」
「ハグとか「きゃっか」」
「ひどいっ。あたしはこんなにもサソリさんのことあいしてるのにっ」
「おまえの妄想がひでぇよ」
一喝された。
でもここでめげないのがあたし、久遠である!!!
「とりゃっ」
「ってめ、だきつくなあつくるしい・・・!」
「やですー!サソリさんいい匂い・・・!」
モゾモゾと静かに暴れるサソリさん。
ちゃんと周りに配慮してるところがもう、胸を締め付けられます。
幼児化のせいで力もあまり変わらないあたしに対し、サソリさんは諦めてあたしの髪の毛を少し乱暴にかきまぜた。
前世から変わらないサソリさんのしぐさに、安心感を感じる。
「・・・ん、ねむ」
「・・・今回だけはゆるしてやるよ」
「サソリさんおやすみなさー・・・い・・・」
意識がまどろみに沈む寸前、サソリさんが安心したようなため息をついたのを感じた。