ひとりの男は暗闇の中で閉じていた瞳を開けた。
漆黒の長髪が肩からするりと落ちる。
手のひらを見つめて、ほぅ、と息を吐いた。少し、肌寒い。


「・・・よう。随分とあっけない死に方だったな、うん」


黄色い頭の少年が、こちらを見ながら口を開いた。
必要最低限しか話したことのなかった相手に、男は少し瞠目して少年を見る。
少年はそっぽを向いた。


「自爆したやつにゃ言われたくねーだろ」


飛段が笑いながら言った。
角都も小さく頷く。少年は、ふて腐れたように顔をしかめた。


「一瞬の美がなんとかなんてほざいてっからだろ」
「旦那だって永遠の美がなんたらって言ってたじゃねーか!うん!」
「わめくな"デイダラ"」


デイダラは舌打ちをして小さくサソリを睨む。当の本人は楽しげに頭の後ろで腕を組んだ。


「それにしても・・・"イタチ"」


角都の呼び掛けに、イタチは視線だけ動かして答えた。


「お前まで死ぬとはな」
「・・・オレが死んだらおかしいのか」
「いや、そうは言っていない。正確には、お前まで"ここ"に来るとはな」


ここ、と下を指差しながら角都は小さく笑った。
イタチは目を伏せ、頷く。


「願いは同じだろう」


イタチの言葉に、一同はそれぞれの死ぬ直前を思い出した。
場面は違えど、必ずある少女の涙を見た。苦しげな笑顔を見た。

彼らはまた、心から笑った少女が見たいと、会いたいと、願った。


「久遠ー・・・会いてぇー・・・」


飛段の呟きは闇に溶けて消えた。


暗闇に、一筋の光が走る。


「・・・やっとかよ。待ちくたびれたぜ・・・」


サソリ達は、重い腰を持ち上げ、光に向かって歩き始めた。

また、会える。

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