夢にできたら
マダラに連れられて、暗い洞穴に入る。
大怪我を負ったサスケが横たわっていた。イタチさんが生かした、大切な、大切な弟。
この世界に来て、忍の残酷さ、尊さ、儚さを知った。
変えるはずの運命を変えられなかったあたしの小ささを、知った。
人の温かさを、知った。
ロウソクがゆらゆらと揺れる。それと一緒に、あたしの影も揺れる。
黒に赤の雲模様・・・赤い雲の部分がサソリさんと重なって、そして長門と重なった。
あたしにもまだ、変えられる運命があるのだろうか。
"笑ってろ。ずっと、苦しくても、オレ達が、・・・オレが、好きなその笑顔、で、"
"・・・笑えよぉ?"
"・・・バカのくせによく、わかったな"
"・・・またな!"
"・・・・・・・・久遠・・・・・、"
笑え、そう言われても、
みんながいないのに笑えるわけないじゃないか。
「・・・久遠・・・」
「・・・うっ、ぇ・・・っ!」
正直、憎いよ。
イタチさんにそっくりな顔のサスケが、優しく背中に手を回してくれるオビトが、もう、なにもかもがわからなくて、あたし、どうしたらいいのかわかんないよ。
ねぇ、サソリさん。
あたしはこれから、どうしたらいいんですか・・・?
「憎いか」
「・・・う、っ・・・!」
「苦しいか、哀しいか」
「ひ、っく、・・・!」
「解放、されたいか」
甘美な響きに酔いしれる。
あたしは必死でオビトにすがりついた。
もういやだ。
この目で死んでいく仲間を写すのはもう嫌だ。
言葉にならなくて、あたしはただ首を横に振った。
「久遠、」
オレが、殺してやろうか。
仮面の奥から覗いた赤い瞳は、切なげに歪んでいた。
すべて、夢だったらいいのに。