一尾狩りも、とうとう明日。
少しだけ震える体を抱くようにしながらベットのすみにうずくまる。
あたしが丸一日部屋から出ないことが珍しいのか、何度か部屋を訪れてくれるメンバーに心のそこから嬉しかった。
そりゃ、あたしだってこんなふうに塞ぎこみたくはなかったし、イタチ兄さんやサソリさん、デイダラにくっついてイチャイチャしたかった。飛段とじゃれたかった。鬼鮫と口喧嘩して、角都に呆れの目を向けられて、いつの間にかゼツがいたりして、いつもみたいに過ごしたかった。でも、今はとてもじゃないけどそんな気分にはなれなかった。

原作の流れを、止める。

そのことが、これからの未来にどう影響するかなんてわからない。
もしかしたら、もっと最悪な展開になるかもしれない。
それだけの覚悟が必要で、でも小さなあたしには大きすぎるものだった。

でも、変えなきゃ。
あたしの大切な人を、守りたいから。

震える手を握り締めて布団にもぐる。目の前にオレンジの仮面がいた。


「・・・・・・・・」
「もう寝ちゃうんですかあ?」
「っぎゃぁむぐっ・・・!」
「しーっ!ちょっとボク、正規メンバーじゃないからここにいると怒られるんですよ?静かにしてくださーい」


いきなり布団の中に現れられたら、そりゃ叫びたくもなる。
口を押さえられてるためくぐもった声しか出ないことが口惜しい。変わりに足でトビの腹を蹴ったら、うぐっと呻き声をあげた。ざまぁ。


「久遠ちゃん、なんだからしくない顔してますね!」


どうしたんですか?と可愛くない動作で首をかしげるトビ。とりあえず殴りたくなったので殴ろうとしたら、たやすく拳を受け止められた。
ふ、とかすかに笑う、マダラ。
悔しいけど、いつの間にかこいつも、あたしにとって大切な人のひとりになっていて。


「べっつにー?いつでもあたしは元気もりもりです!」


咄嗟についた嘘もバレているんだろうけど、無言で頭を撫でてくれた。


「変える、と」
「!!」
「決めたのだろう?お前だけが知るその未来を」
「・・・うん」


マダラは笑った。
いつものように、静かに、笑った。
顔は見えないけれど、その仮面の下にある"本当の顔"は、確かに笑っているんだろう。


「非情に不本意だけど、一応お礼言っとく」
「・・・あまり嬉しくはないくだりだな」
「だってマダラだし」
「どういう意味だ」
「そういう意味だ」


ありがとう、オビト。


「・・・お前の言葉には、もう驚かないな」
「それはどうも」
「褒めてない」


震えが止まった。

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