喧嘩(?)するふたりからさりげなく一尾狩りの日程を教えてもらった。
あたしは今、どうやって原作の流れを阻止するべきか、自室にて考え中である。なう。

サソリさんは確か、チヨバア様の攻撃が見えていて、何故かかわせなかったんだよね。
それはサソリさんの心に、まだ優しさが残ってたから。人形になりきれてなかったから。
一緒に過ごしていくうちにますます実感した。サソリさんは、非情で残酷で、でも奥底でとても優しくて温かい人だってこと。
・・・さっきだって、そうだった。不覚にも泣いてしまったあたしに気づいて、わざわざイタチ兄さんの部屋まで来てくれた。


「んー・・・、」


どうやってサソリさんの死を阻止する?
そもそもそんな戦闘についていくことを許される?
ついていったところで、あたしは足手まといにしかならない。
チヨバア様の最後の一振りを、見切る目もない。
どうする?どうする?どうする・・・?

考えすぎて吐きそうになった。


「・・・難しい顔してんなぁ?」
「そーなんだよ。考えすぎて吐きそうになってきた」
「オメーにそんなシケた面は似合わねぇぜー?」
「むっ、あたしだって考え事くらい・・・する・・・って、飛段!?」
「おー」


やっと気づいたか、と笑いながらあたしの髪を弄び始めた飛段に、開いた口がふさがらない。
だって、え?ここあたしの部屋だよね?


「鍵開いてたから入った」
「ノックくらいしろよ」


いや、ゲハハハじゃなくてね?

ベッドに座り込むあたしの背後に回ってきた飛段はそのまま、あたしの腰に腕を回した。
お決まりになりつつあるな、この体勢。
でも飛段にこうやってもらえると、なんか安心する。
飛段の体温が伝わってきて、あたしは思わず笑みをこぼした。


「うりゃ」
「うわ、!?」


ぼすん。

あたしごとベッドに倒れた飛段は、腰に回していた手をあたしの頭に回して羽交い絞めにした。
髪の毛ボサボサになるーとか苦しいーとか、きゃーきゃー言いながらじゃれる。
ジャシン様に捧げてやるとか冗談にならない冗談を言われ、でもあたしは大きな声で笑ってしまった。ここでジャシン来たか。

しばらく戯れていると段々疲れてきた。
笑いすぎて痛くなったお腹をさする。飛段はダセーなぁと言いながら頭を撫でてくれた。


「おー、任務だ。行ってくる」
「いってらい」


ダルそうに首を鳴らしながら部屋を出る飛段。
なにしに来たんだ。


「・・・ふぅ、」


少しだけ心が軽くなった気がした。

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