今思えば、そうだ。

変態発言が多々あり目立ち、いつも笑顔で、本当に屈託のない笑みで、見え隠れする優しさを兼ね備え、久遠はいつの間にかオレの、オレ達の中にいた。
一緒に居ればいるほどどんどん依存して、オレ達にはないものを持ってる久遠をいつの間にか自分の癒しにして。
手を伸ばせば届くところにいることに安心して、気を赦し、ゆだね。
腰を締め付ける細い腕も、笑うとき細められる大きな瞳も、えくぼも、走るたびに揺れる髪の毛も。

すべてが、愛おしいと。

これが愛なのか恋なのか分からない。
でも久遠がいないとどうしようもなく焦燥感に駆られたり、どこかに穴が開いたような感覚に陥ったり、自分が自分じゃないみたいに思えたり。

こんなこと有り得ないのに、あったらいけないのに、セーブしようとすればするほどそれ以上の感情が鍵をこじ開けて溢れ出す。
もう、久遠なしではやっていけないのだ。
どうしようもないくらいに、あいつが必要なのだ。
認めれば認めるだけ、それはさらに膨れ上がっていく。

そして、ふと我に返る。

あいつがたまに、寂しそうな顔をすることを思い出す。
未来も過去も全てを知っている久遠には、当然オレ達の最期も見えているわけで。
自惚れじゃないが毎日いらないくらいの"愛"をぶつけてくる久遠は、そんな限られた時間をどう思いながらオレ達と過ごしているのだろうか。
もしかしたら、オレ達の想像を超えるくらいの悲しみや苦しみをその小さな体に必死に押さえ込んでいるのだろうか、とか。
もしそうなら、オレが今度はあいつの安心する居場所になってやりたい、だとか。
影で泣いているならどこでも見つけ出して抱きしめてやりたい、だとか。

もう、オレじゃないみたいに、心は、動いていて。


「・・・は、くだらねぇ」


本当に、くだらねぇ。

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