タラリ。
つめたーい雰囲気漂うリビングに、珍しくあたしの背中を冷や汗が伝った。
デイダラとカブトが対峙した時とはまた違う、ていうか格が違う緊張感。

あたしを後ろから抱きしめて離さない飛段と、そんな飛段を軽く睨みながらもあたしをじっと見つめるデイダラとサソリさん。
あたしを抱きしめている飛段からもなんだか視線を感じる気がするし、少し離れたところに座る鬼鮫や角都の年配組もあたしを見ていた。なんなんだコレ。何プレイですか。

事の発端は、トビがついうっかり(絶対故意にだけど)洩らした言葉。
あたしが、この世界の人間じゃないってこと。
随分前から知っていたイタチ兄さんといつから知ってたのか分からないけど知ってたゼツだけが平然と成り行きを見守っていた。
いや助けてくださいよ。このままだとあたし、視線だけで殺されちゃう。
サソリさんとかあたりに溶かされちゃう。

重苦しい雰囲気を破ったのは、事の重大さを軽く受け止めてるっぽい飛段だった。


「なー、こっちの世界だとかあっちの世界だとか、んなの知らねぇけどよ。久遠はここにいるだろ?」


あたしの肩に顎を乗せてグリグリしながら、飛段は少し不安げな口調で言った。

・・・ん?あれ?

てっきり気味悪がられるだろうと思っていたあたしは、予想外の言葉に目を丸くして息を呑んだ。
答えないあたしに、じれったそうに飛段が唸る。
あたしを見るサソリさんやデイダラの目が少し影が帯びる。心なしか、イタチ兄さんやゼツまでもが心配そうな目で見てきた。


「え・・・、ていうかあたし、あっちの世界では死んじゃったし・・・帰るに帰れないというか・・・うん」


思わずデイダラ口調になってしまった。
ていうかあたし、ここに居てもいいのか。

そう意味を含めて首をかしげたあたしの頬を、サソリさんが思いっきり引っ張った。
ちょちょちょちょ、痛い痛い痛い!!!


「いひゃい、ひゃひょりはん!!」
「バァカ」
「・・・ひゃい?」
「てめーはマジでバカだな。いっそ清々しいぜ」


隣でデイダラがうんうんと頷いている。
な、なんなんだマジで。


「居ていいに決まってんだろ。うん」
「えすぱー!!?」


びっくりして叫べば、全部声に出てんだよともう一回頬をつねられた。痛い。
フン、と角都が鼻で笑う。


「居ていいなんて愚問だ。今さらすぎて質問にもなっていない」
「・・・ですねぇ。ていうかアナタの場合、私達の賛否に関わらずここにいるでしょうし」


角都に続いて鬼鮫が言った言葉に、あたしはますます目を見開いた。
嬉しさがこみ上げて、口元がだらしなく緩む。


「なぁー、居るだろ?」


強く抱きしめながら問うてきた飛段に、あたしは強く頷いたのだった。

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