青い空の下。高校球児達が校庭を走り回り、青春を謳歌している頃。俺はと言えば、校庭の脇道で言合いをする弟と幼なじみに挟まれて腕を左右に引っ張られてる。いい加減千切れてしまうんじゃないかとさえ思う。もしそうなったら校庭のスミで軽く殺人事件です。ああ、なんて物騒な世の中なんだろう。





なんて平和な青春時代






「悠太は俺のだって何度言えばわかるの、要?秀才を謳うなら一回で理解して下さい」

「あの…祐希くん…」

「は?お前こそいい加減兄離れしたらどうなんだよ、何時も何時も悠太、悠太って甘えやがって。あー、でもそれでもいいか。どうせ、弟、いや、悠太の子供にし見えねーしな。はっ」

「あの…要さん…」

「ちょっと、それどういう意味?悠太の子供って何?俺は悠太の彼氏です!」

「いや、それは…」

「何、寝言言ってんだよ。お前みたいな甘えたな彼氏なんていい迷惑だろう。そんなで悠太が幸せになれると思ってんのか?」

「ちょっと……」

「もう、悠太、要がいじめる」「悠太、いい加減こいつを甘やかすのやめろ」

「はぁー…」


さっきから言いたい放題の二人。俺の話にはまるで耳を傾けてくれない。互いに一歩も譲らず、ぐい、ぐいっと腕を左右に引っぱり合ってる。

どうしてこうなってしまったのかと言えば、祐希が帰りに本屋に寄りたいと言いだしたの原因で。要が、それなら二人で先に帰ろうぜなんて言いだしたからこうなった。三人で本屋に寄って帰ればいいのに、その選択肢はなく、くだらない言合いを続けてる。

しかし、本当に腕が痛い。こんな時に限って千鶴は居残りでいないし、春は家の用事早々に帰ってしまった。祐希が絡み付いて引っ張る右手と、要が手首を掴んで引く左手。ああ、本当に千切れてしまうかもしれない。


「ねえ、悠太。要なんて放っておいて本屋行こうよ。」

「だから、毎日付き合ってもらえるなんて思うなよ。悠太もたまには真っすぐ家に帰りたいよな?」

「…あの、俺は」

「「俺は?」」

「…とりあえず…腕が千切れそう、です…」

「「あ…」」


俺の腕を互いに引っぱり合っていた事にようやく気づいてくれたみたいで、二人は同時に俺の腕から手を離してくれた。解放された腕は少し痺れていて軽く摩っていると、二人とも俯いてばつの悪そうな顔で「ごめんね悠太」とか「悪かったな」って謝罪を述べてきた。謝るくらいなら始めからしなければいいのに、世話の焼ける二人だね。


「それより、3人で一緒に本屋に行きませんか?」

「…あー…うん」

「チッ……仕方無いな」


本当に世話の焼ける二人だけど、話もやっと聞いてもらえたし。二人の火花も治まって平和になった放課後に少し安堵する。高校球児達も運動後の火照った身体をクールダウンしていた。たけど……祐希が小さく呟いた事によってまた着火してしまう。


「仕方無いって、嫌なら来なければいいのに」

「あ?」

「ちょっと二人とも…」

「だって、要がせっかくの悠太の提案に対して不服そうなんだもん」

「誰も不服だなんて言ってねーだろ!つーか、お前悠太に抱きついてんじゃねーよ!」

「うるさいなー。悠太は俺のだから抱きつこうがナニしようがいいんです。」

「おい、ナニって、なんだよナニって!」

「さー」

「おい、祐希!」


再び始まったくだらない言い争い。夕暮れ間近の薄い青空の下。校庭の脇道でその言合いに俺が巻き込まれていた頃。校庭では高校球児達が青春の汗を拭き取り、グランドの整備をしていた。いいね、青春。

抱き着く祐希とそれを剥がそうと引っ張る要。今度こそ身体が持っていかれそう。でも、本当に千切れて殺人事件が起こる訳でもないし、…これもこれで青春、かな。それにこんなくだらない事でいい合いができる今は……



「平和だな……」



なんだかちょっと諦めモードで呟いた俺の言葉をやっぱり二人は聞いていないけど、もしかしたら、何時か…言い合う暇もないくらい忙しい毎日に追われるかもし、今はこうしてくだらない事が言い合える、そんな平和な時間に浸るのも悪くない。そう思ったらこんな状況ですら愛しくなった。


「あ、悠太が笑ってる」

「あ、本当だ」



あ、喧嘩が止まった。






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水黒ゆた様へ捧げます。相互感謝文です。
相互リンク本当にありがとうございます!

*祐希と要の悠太の取り合い。
*今日も平和だね、的落ち。

というリクだったのですが…如何でしょうか?
もう少し軽いノリで書きたかったのですが、少し真面目なお話になってる気が… > <
悠太の取り合いでぎゃーぎゃー騒げる関係や、そんな時間がある事が平和だなと思いこんな形で書かせて頂きました。
ふざけ合っていられるのも、部活に精がだせるのも受験のない時期の学生の特権だと思います。なんて言い訳ですが。こんな思い込みで書いた文でも貰って頂けたら幸いです > <
ご希望されていた内容と少し異なるかもしれませんので、書き直しの発注はお気軽に!

水黒ゆた様との相互リンク本当に嬉しいですv
こんな阿呆な私ですがこれからよろしくお願い致しますねvV

水黒ゆた様の素敵なサイト【 Stay in my heart





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