ご飯のあと。
「ねえ牛頭、今晴れてる?」
「雲1つねぇよ。」
「やったぁ!わたしお散歩いってくるんで!んじゃ!」
「おい待て!夜だぞ!暗いんだぞ!お前また迷子なるぞ!泣くぞ!妖怪でるぞ!やめとけ!」
「どんだけけなされるんですか私。何があろうと星を見に行きます」
「待て!仕方ねぇから俺がついて行ってやる。」
というやりとりがありまして。わたしたちは今お散歩中です。
「く、暗い…」
「テメー人間なんだから夜は眼ェきかねぇだろ。俺に感謝しろ。」
「へっ…ありがとうございますゥー。」
「相変わらずムカつく野郎だな お前…。」
そんな感じでいつも通りの会話をしながら目的地である星のよくみえる原っぱに向かう。ここはわたしが小さい頃、牛鬼さまがよく連れてきてくださった場所で、わたしのお気に入りの場所。今でもよく牛頭馬頭と遊びにきたりもする。でも牛頭と2人で行くのはもちろん初めてで。もちろん緊張してます。なんか今日緊張しっぱなしだよ…。恥ずかしいが、それは全部牛頭のせいで。自分の牛頭好きさにすこし笑えてきた。
「うわっ…とぉっ!?」
木の枝にひっかかり、わたしは転びそうになるが、前を歩いていた牛頭がおっと、と言いながら支えてくれた。そうとこが、好きなんだよなぁー…。
「これだから人間は。」
「あーごめんなさいねー助かりましたありがとー。」
人間呼ばわりされるのは気に入らないけどね。とりあえず棒読みのお礼をした。
スッ―
牛頭が手を差し伸べてくる。わたしは牛頭が何をしたいのかよくわからず、思わずポカーンとしてしまった。
「テメーわかれよ!危なっかしいから手繋いでてやるって言ってんだよ!どこまでも恥ずかしい奴だな!!!!」
暗いうえに反対方向を向いているので顔はみえないが、声の調子からして牛頭はきっと真っ赤になっているだろう。わたしは素直に嬉しくて。笑ってしまう。
「ふふっ…」
「なっ 何笑ってんだ!!!!嫌なら別にいい!!!!いくぞほら!!!!」
そう言って牛頭は歩き出す。
「あ…待ってよ牛頭!」
わたしはすぐに追いかけて牛頭の左手に自分の右手を絡ませた。
ついてきた目的
―これが狙いです。
「星綺麗にでてるねー!」
「…お前のほうが…」
「? なんか言った?」
「なっなんでもねぇよ!!!!」
2011.04.02 改正