「牛頭ーご飯できたよー」



まだ牛鬼さまと馬頭は本家から戻らない。さっき、晩御飯は本家でいただいてくるという連絡があったので、わたしは自分と牛頭の2人分のご飯を用意した。


「お 今日は魚か。」

「牛頭お魚好きでしょ?」


「……フン、まあな。いただきます。」


あ ちょっと照れた。お魚嬉しかったのかな。あのぶっきらぼうの牛頭が喜ぶと私まで笑顔になってしまう。


「何ニヤニヤしてんだ気持ち悪いな」

「んー、別にぃ」


それにしても、会話のない食卓だ。私は何か話そうといろいろ考えるがなかなか浮かばない。あー、なんか話さなきゃ。でも緊張しちゃって何も思い浮かばない。よく考えたら2人でご飯ってなんだか夫婦みたいだなあ、うわーテンパる。おいしいかなぁ…?牛頭、無言だから何もわかんないや…、と少し心配になる。そして牛頭丸のほうをじっとみた。うーん、やっぱりかっこいい。


「おかわり。」

「ふ…へっ?な、なに!」

やばい!びっくりした!突然こっち向くなよ!


「飯!おかわりだって言ってんだろ!!!!ババアかテメー聞いてろ!」


どうやら一杯じゃ足りなかったご様子で私におかわりを求めてきた。なんだか最後に暴言を吐かれたがあまり気にしないでおこう。


「あ ご飯ね、ちょっと待ってね。」

「…馬頭がいないと静かだな、この家。」


私が茶碗にご飯を盛ろうとしたとき、牛頭が話しかけてきた。


「あー…そうだね。」

「馬頭がいるときは名前もうっせーのになんで今日はこんなに静かなんだよ」

「え…だって…うん。」

「俺と2人がそんなに嫌か。」


牛頭がムスッとした。その顔がひどくかわいくてドキッとしてしまう。


「そっ…そーゆーわけではなくて!えっと そのだって2人って緊張するし!!!!」


あ わたし今恥ずかしい。またからかわれるだろうな。まあいいや 本心だし。


「あーなんかアレだよな、2人で飯とか夫婦みてーで俺も緊張す……

「っご、牛頭…」



って俺は一体何を言ってんだァァァァ!!!!」








口を滑らす魔の食卓
―ついつい本音がでてしまう。




「…飯うまかった。」
「ふっ…へ?え?」
「だから飯クソうまかったって言ってんだろテメーババアかカス女!!!!」
「あ ありがとう…(クソうまかったって…)」






2011.04.02 改正
- ナノ -